「夏がくれば思い出す・・・」でお馴染みの尾瀬はこの時期、花に彩られた世界です。湿原を黄色に染めるというニッコウキスゲはまだ3分咲きと言うものの、湖畔に広がる湿原にはコバイケイソウやカキツバタヒオウギアヤメなどが咲いていると言います。
尾瀬沼へのハイキングコースには大清水から三平峠を超えるコースのほか、今回利用する沼山峠から尾瀬沼に向かうコースがあります。このコースは沼田街道として、上州と会津を結ぶ古くからの街道として利用されて道でもあります。今回は沼山峠から尾瀬沼に下り、湖畔を一周しながら夏の湿原に咲く花を愛でる山旅です。
会津西街道を走ると岩館の集落です。ここからさらに狭い国道を進むと燧ヶ岳の登山口にもなっている御池です。広い駐車場は荷揚げのためかヘリポートにもなっていますが、半分くらいは車で埋まっていました。ここから沼山峠行きの乗り合いバスに乗って約10分。先に出発したバスには30人ほどの団体客も乗っていました。平日にもかかわらずこの登山口は訪れる人が多いところです。
登山道は暗い針葉樹の林の中を緩やかに登っていきます。木道が敷かれた登山道は軽い散策路と言ったところです。やがて沼山峠を越えると登山道は尾瀬沼を目指し緩やかに下り始めます。明るくなり始めた登山道をしばらく下っていると広く開けた大江湿原にたどり着きました。まだ3分咲きですがニッコウキスゲが我々を出迎えてくれます。湿原を黄色に染めるとまではいかないものの、なかなか見事な花景色が広がっています。
たくさんのハイカーとともに木道を進んで行くと長蔵小屋です先ほどの団体客のほかに何処かの学生の一団も休憩の最中でした。ビジターセンター前のベンチに腰をおろして昼食です
食事ののち尾瀬沼山荘に沼うことにします。しばらく木道を進むと雨が降り始めてきます。天気予報では小雨が降るような予報でしたがかなり強い雨です。レインコートにザックカバーそれに傘までさして尾瀬沼山荘を目指すことにします。雨で滑りやすい木道をしばらく進むと三平峠への登り口となる尾瀬沼山荘です。とりあえず雨脚が弱くなるまで雨宿りとします。
30分ほど待ってみましたが雨は一向に止みそうにもありません。とりあえず湖畔を半周して沼尻に向かうことにします。右手に雨で煙る尾瀬沼を眺めながら湖畔の木道を進んでいきます。途中にはぬかるんだ所も多く、あまり歩きやすい道ではありません。そのせいもあってか、行き交う人の数もあまり多くはありません。やがて雨脚が弱くなってくると小沼湿原です。浅い沼が湿原化したもので湿原植物に恵まれたところとか。
湿原を超えしばらく木道を進むと沼尻の休憩所です。たくさんの人が椅子に腰を下ろし休息中です。しばらくすると見晴らし十字路のほうから大きな荷物を背負ったボッカの2人連れがやってきました。鳩待峠からのツアー客の荷物を担いできたようですが、このよう商売も成り立つものです。
ここからは木道に咲く花を眺めながら大江湿原へ。道端に咲く花をファインダーに収めながらの散策はかなり時間がかかるものです。
たどり着いた大江湿原からは沼山峠の休憩所に向い緩やかに木道を登っていきます。今日、尾瀬沼に泊まるのでしょうか、まだ沼を目指して下ってくる人もいました。たどり着いた沼山峠の休憩所から乗り合いバスで御池へ。まだ雨はかなり激しく降っています。
尾瀬はまさに夏の花の咲く季節を迎えています。沼山峠へと登って行く樹林帯の登山道にはギンリョウソウのほか白い大きな花を付けたモミジカラマツも咲いています。
たどり着いた大江湿原はニッコウキスゲが咲いていました。今湿原のもう一つの主役はカキツバタ。その特徴は花弁に白い模様とか。網の目のような模様が美しいヒオウギアヤメも咲いているようです。尾瀬沼が近付くと花の種類も多くなります。もう最盛期を過ぎたようですが白いコバイケイソウ、眼を湿原に落とすとハクサンチドリやツルコケモモが咲いています。また咲き残ったレンゲツツジが朱色の花を付けていました。
長蔵小屋の前にはピンクのヒメサユリが咲いていました。浅草岳や守門岳に咲く花として有名ですがこの道端にも咲いています。でも何処からか移植したものかも知れまでん。ヒメサユリの傍には尾瀬に似つかわしくないコンフリーも花を開いていました。
尾瀬沼を半周した小さな湿原は浅湖湿原です。人があまり入っていないようで湿原にはたくさんの花が咲いています。湿原に目を落とすとモウセンゴケに交じって尾瀬の特産種と言うナガバノモウセンゴケ。ランの仲間でしょうが薄緑色の花はホソバノキソチドリでしょうか。小さなヒメシャクナゲも咲いていましたが花の数はあまり多くありませんでした。