妙義山は榛名山、赤城山とともに上毛三山として古来親しまれている山です。標高はわずかに1,000mを越える低山ですが、その稜線は切り立った岩峰をめぐらせ、四国小豆島の寒霞渓、九州大分の耶麻渓とともに日本三大奇勝に数えられています。稜線の岩峰をたどる登山道も開かれているようですが、そこは鎖や岩場が連続する岩登りの世界。今回は岩峰の下をたどる妙義中間道を歩いてみることとしました。
早朝の上野駅から高崎線の普通列車で終点の高崎へ。ここで信越本線横河駅行きの普通列車に乗り換えます。降り立った松井田駅はローカル色豊かな駅で、駅前にはすでに妙義神社行きの上信バスが待っていました。たどり着いた妙義神社から見上げる妙義山は、尾根に鋭い岩峰を頂き、圧倒的な迫力で我々を迎えてくれました。
妙義神社のバス停からは古い石段の参道を登り始めます。総門をくぐると杉林の長い石段。白いキャンバスに覆われた本殿は工事中のため参拝することができません。本殿から道を左手に折れ、第一見晴に向かいます。展望のあまりきかない暗い林の中を徐々に登って行くと、やがて張り出した岩場の上に立つ第一見晴です。目の前には、これからたどる表妙義の岩峰群がそびえ立っていました。
第一見晴からは広く整備された中間道をたどって行きます。途中切り立った岩場の間から落ちる大黒の滝。しばらく進むと小さなクサリ場を持つ第二見晴の展望台です。ここからは南側の展望が大きく開け、左手より金鶏山のゴツゴツした岩峰と特徴のある筆頭岩、その右手には金洞山の切り立った岩峰が手に取るように眺められます。
第二見晴を過ぎると岩が折重なる大きな沢。この沢を登ると白雲山登ることができるようです。相馬岳の岩壁の下を更に進むと本読み僧の小さな自然石の像。ここが中間道の中間点です。さらにしばらく下ると真新しいあずま屋が建っていました。振り返る相馬岳の岩峰は圧倒するほどの迫力で迫ってきます。ここからは小さなアップダウンが続き、道もかなり荒れてきます。
やがて登山道は急な階段を登り始めます。しばらく登ると痩せた岩尾根を長い鉄の階段を頼りに登ることとなります。左側は深く切れ落ち、鉄の手摺がなければかなりのスリルがあるところです。たどり着くと切り立つ岩壁の直下。ここからは大きく張り出した岩庇の下をたどって行きます。しばらく登り下りを繰り返すと、視界が大きく開けた大砲岩の前に飛び出しました。
大砲岩の岩場からしばらく下ると大きな第四石門。薄い岩壁に大きく口を開けた石門。どのようにすると自然がこのような造形を作ることができるのでしょうか。第四石門よりしばらく下ると右手に小さな第三石門。更にしばらく下り小さなクサリ場を登り返すと正面に第二石門がそびえ立っています。石門までは凡そ25m。急な岩場に2本の真新しいクサリが張ってあります。鎖を登り狭い石門をくぐると今度は凡そ7~8mの下りのクサリ場。ここを下ると今度はカニの横ばい。なかなか気の抜けないクサリ場の連続です。しばらく下ると今度は大きな第一石門です。石門をくぐるとほどなく舗装道路が通る石門入口にたどり着きました。
石門入口からは妙義紅葉ラインの車道を妙義神社まで。車道にはツーリングの若者がバイク特有の甲高い轟音を響かせています。ここから約1時間半、アスファルトの帰り道はあまり面白いものではありません。途中一本杉から関東ふれあいの道が金鶏橋まで続いていました。暗い林の中を下る道は石がゴツゴツしていますが、舗装道路を歩くよりはかなり心地の良いものです。金鶏橋からは再び単調な車道に戻り、妙義神社へと道を急ぎます。車道の両側にはぶどう園、つり堀、養蜂所、ドライブインなどがポツポツと並んでいますが、あまり店を開けてはいないようです。しばらく下ると今朝バスを下りた妙義神社の赤い鳥居の前にたどり着きました。