今年初めてのテント山行は三斗小屋温泉のテン場で一夜を過ごし、那須の山々を周遊する明るい縦走を楽しみました。
峠の茶屋10:45-峰の茶屋跡11:50/12:20-那須岳13:05/35-牛ヶ首14:30-姥ヶ平15:00-1450m付近16:05/20-三斗小屋温泉・煙草屋16:50(テン泊)
行動時間6:05、歩行時間4:50、歩行距離7.7km、累積標高差+643m、-649m
たくさんの車で賑わう峠の茶屋の駐車場から峰の茶屋跡に向かい歩きはじめます。登山口には山の神の石祠が祀られ赤い帽子を被った狛犬が立っています。
明るい登山道は初夏のような強い日を浴び気温もかなり上がっているようです。温暖化のせいなのか、今年は5月と言うのにすでに15回も真夏日を観測しています。
火山礫に覆われた登山道を緩やかに登って行くとやがて峠の茶屋跡です。ここは何時も強い風が吹き抜けるところです。避難小屋のベンチには風を避けながら休憩しているハイカーが数組、近くの小学生でしょうか先生に引率された登山遠足の子供たちもお弁当を広げていました。
峠の茶屋跡からは茶臼岳を目指すことにします。大きな岩が転がる登山道は山頂の北側を巻くように登って行きます。振り返ると赤茶けた山肌の朝日岳、その先には隠居倉や三本槍岳も見えていました。
ロープウェイから登ってくる道を合わせると茶臼岳の火口原です。茶臼岳は那須火山の中で最も新しい火山でおよそ6000年前まで噴火を繰り返していたと考えられています。最近では1960年、1963年にも水蒸気噴火が発生している現役の火山です。西側の無間火口周辺では今も盛んに白い噴煙を上げ、ジェット機のような音が登山道周辺にも聞こえていました。
鳥居をくぐると大きな岩が積み重なる茶臼岳の山頂です。岩の上には那須岳神社の石祠が祀られていました。
山頂で展望を楽しんだのち牛ヶ首へ。ロープウェイ山頂駅の手前で道を右に折れ山腹を巻くように牛ヶ首に向かいます。
途中には高雄口の道標がありました。那須の山岳信仰である白湯信仰では温泉神社からこの道を登り茶臼岳に向かったと考えられています。途中には不動岩、弥陀ヶ原など白湯信仰の拝所が今も残っていると言います。
たどり着いた牛ヶ首からは姥ヶ平に下って行きます。灌木に覆われた一帯は若葉色の芽ぶきに包まれたところです。ひょうたん池の先には松を頭に載せた梵天岩を見付けることが出来ます。
姥ヶ平からは芽吹いたばかりの登山道を下って行きます。途中、沼原へ下って行く道を左に分けると沢沿いに道をたどることになります。途中の大きな沢には立派な木橋がかかっていました。
急な登り返しに汗を流すと峰の茶屋跡から下ってくる道を合わせる分岐です。ここから峰の茶屋跡までは40分ほどとか、この道を利用すると思いのほか簡単に三斗小屋温泉にたどり着けるようです。
三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋の2件の旅館があります。電気が通じていないといっても食事は山小屋以上とか、人気の露天風呂を目当てに三斗小屋を訪れる人も多いと言います。
4張りしか張れないと言うテン場は貸し切り状態です。今夜のメニューはサンマの缶詰を利用したサンマの炊き込みごはんです。梅干しと生姜が利いてなかなかGooです。翌朝のメニューはトマトのリゾットでした。食べにくいアルファ米も思いのほか美味しく食べられるものです。
三斗小屋温泉6:50-1630m付近7:30/50-隠居倉8:20/50-熊見曽根分岐9:25/30-中の大倉尾根分岐10:05-三本槍岳10:45/11:40-朝日岳分岐13:00/20-峰の茶屋跡13:50/55-峠の茶屋14:30
行動時間7:40、歩行時間5:25、歩行距離8.5km、累積標高差+796m、-793m
今日は隠居倉から三本槍岳を目指すことにします。煙草屋旅館の上には三斗小屋温泉神社が祀られています。日光東照宮の造営にあたった彫刻師が三斗小屋に訪れたときに掘ったものと伝えられる古い社です。
さらに明るい雑木林の中を登って行くと温泉の湧出口にたどり着きます。白い噴気を上げる湧出口は強い硫黄の匂いがあたりに漂っていました。
明るい登山道を登って行くと視界が開け、青空の下に流石山から大倉山がそびえています。沢筋にはわずかに残雪も残っていました。
思いのほか急な登りにひと汗を流すと隠居倉の肩です。茶臼岳の赤茶けた山肌が視界に飛び込んできます。その先には日ノ出平から南月山のなだらかな稜線が続いています。
細くなった稜線をひと登りすると展望が広がる隠居倉の山頂にたどり着きました。
山頂で出会った初老のハイカーは茨城の人、よくこの山に来ると言いますが隠居倉が一番のお気に入りのところとか。確かに全方向に広がる視界の中には茶臼岳、朝日岳をはじめとする那須の山々、霞む視界の先には高原山や女峰山の頂も見え隠れしていました。
ここから熊見曽根の分岐までは茶臼岳や朝日岳を眺めながらの稜線歩きです。登山道沿いにはシャクナゲやミネザクラも見付けることが出来ます。
熊見曽根の分岐で朝日岳から登ってくる道を合わせるとハイカーの数も多くなります。すでに三本槍岳から下ってくる人も目立ち始めます。
清水平の木道から灌木の中を登り返すと中の大倉尾根への分岐です。シャクナゲやシロヤシオが咲くのか北温泉から中の大倉尾根を登ってくる人も多いようです。
思いのほか急な登りにひと汗を流すと1等三角点のある三本槍岳の山頂です。目の前は会津下郷の街並み、昨年登った甲子山の手前には赤崩山がそびえていました。
たなびく雲の下には雪を被った飯豊連峰、霞の中に溶け込みそうな磐梯山や吾妻山、その右手には安達太良山も見付けることが出来ました。
昨日、三斗小屋温泉で出会った若い夫婦連れは大峠から三本槍岳に登って来たと言います。途中、大峠の手前で熊に出会ったとか。「ガイドブックに一般コースと出ていたのに熊に出会うとは・・・」と言っていました。
帰りは中の大倉尾根から北温泉に下ることもできそうですが車を停めた峠の茶屋までは1時間ほどの登りが待っているようです。今回は剣ヶ峰から峰の茶屋跡を通り峰の茶屋へ戻ることにしました。
思いのほか急な熊見曽根の登り返しに息を切らせると朝日岳の分岐です。このベンチで最後の休憩をしたのち峰の茶屋跡に向かいます。朝日岳の山肌をトラバースする道は右手が切れ落ち鎖も張られています。過去には死亡事故も発生しているようで雨や雪の時は結構危げなところです。
剣ヶ峰を巻く登山道も落石のありそうなところです。峰の茶屋跡の手前にはまだ雪渓のトラバースも残っていました。
たどり着いた峰の茶屋跡からは大きな岩の転がる登山道を緩やかに下って行くだけです。前を歩く登山遠足の子供たちの喧騒が近づくと車を停めた駐車場です。
峰の茶屋跡へと登って行く若葉色に包まれた登山道には今を盛りに咲くムラサキヤシオ、登山道に目を落とすとイワカガミの赤い花を見付けることが出来ます。またこの山には白い花を付けるヒメイワカガミも咲いていました。
姥ヶ平の周辺はダケカンバなどの灌木に覆われたところで、この時期にはムラサキヤシオに混じりミネザクラやコウラジロヨウラクなど花が咲くところです。
熊見曽根から清水平へと続く登山道はシャクナゲやミネザクラの咲くところです。遠くから眺める山肌には点々とシャクナゲの花が見えているようでした。