前回の市民ハイキングの下見山行は、思いがけない道迷いで途中から引き返してしまったため、今回は都合がつくメンバーと一緒に再度下見にチャレンジすることとなりました。
広い駐車場に車を停め、ひとまず沼原の湿原を散策して行くことにします。若葉色の雑木林の道を小さく下って行くと、白笹山、南月山、西ボッチに囲まれた沼原湿原です。木道が敷かれた小さな尾瀬と言った湿原はザゼンソウの群生地として有名です。
遊歩道を半周するのに15分ほど、ゼゼンソウ、ショウジョウバカマのほかヒメイチゲも咲いていました。しかし期待していたタテヤマリンドウは1輪見つけただけ。トキソウ、サワランなども咲く湿原と言いますが、目立つのはニッコウキスゲの芽吹きだけです。湿原の水の中には生きた化石と言うクロサンショウウオの大きな卵隗がありました。
沼原からは三斗小屋分岐を目指して明るい雑木林の中を緩やかに登って行きます。登山道にはミネザクラ、オオカメノキなどを見つけることができます。目を登山道に落とすとスミレのほかミヤマエンレイソウやマイズルソウが咲き始めていました。
三斗小屋分岐からは浅い沢を登って行きます。登山道には解け残った雪渓が残っています。やがて登山道は右手の稜線に向かってジグザグを切りながら登って行きます。
大きな岩が転がる稜線からは明るくなった尾根道を登って行きます。傾斜は緩やかになったもののまだまだ登りは続いています。登山道の脇にはアズマシャクナゲが目立ち始めtきました。蕾が赤く膨らんでいるものも多く、しばらくするとこの稜線ではピンクの花を見つけることができそうです。
視界が開けてくると白樺の木が目立つようになります。振り返ると沼原の調整池、その上に大佐飛山の稜線を見ることができます。春が霞に覆われているものの大佐飛山の先には日光白根山も霞んだ頂を見せてくれているようです。登山道わきには半分雪に覆われた畏敬池がありました。まだ手を切るほど冷たい水の中に、クロサンショウウオの大きな卵隗がありました。このような厳しい環境にも、クロサンショウウオは生息しているようです。
ここからは笹原の明るい稜線を巻くように日ノ出平の山頂へと登って行きます。途中には右手が少し切れ落ちた雪渓があります。大きく視界が開け、目の前には白笹山、南月山の稜線、振り返ると大佐飛山、眼下には沼原の調整池、湿原などを一望することができます。
雪渓から笹の斜面を回り込むと山頂へと向かう平らな灌木の中を進むようになります。ドウタンツツジやミネザクラが一面に生えていました。しかし例年は5月の初めから咲き始めると言うミネザクラの蕾はまだ堅そうです。山頂一面がミネザクラに覆われる景色を想像すると、花の咲く時期に再び訪れてみたい衝動を覚えるものです。
日ノ出平で昼食ののち、茶臼岳の山頂へ向かうメンバーを見送り、沼原湿原に下って行くことにします。時間が許せば白笹山、南月山を回って沼原湿原に下る道が心地よさそうですが、少し時間がかかりすぎそうです。何時か、ミネザクラの咲く時期にでもこのコースを周遊することにしましょう。
たどり着いた沼原湿原を再びひとめぐり。湿原の中央に展望台があります。ここからは正面に残雪をその山肌にまとった流石山。熊見曾根から続く稜線の先にそびえる静かな頂ですが、一緒に行った安川さんが何時か登ってみたいと言っていた山です。展望台から沼原の調整池をひとめぐりする道のようですが、当然このコースををめぐる時間もなさそうです。
駐車場からは茶臼岳の山裾を巻くように峠ノ茶屋駐車場へ。広い駐車場には数台の車が停まっています。ここから茶臼岳の山頂を往復しているハイカーもいるようです。
帰りにツツジ群生地に立ち寄りました。まだ咲き始めと言うことで、遊歩道をたどる観光客も多くありません。ピンク色のミツバツツジは咲いていましたがヤマツツジはまだ蕾、レンゲツツジは蕾冴えも膨らんでいませんでした。