沼原12:55-日ノ出平分岐13:40/50-姥ヶ平分岐14:55-峰ノ茶屋分岐15:35/40-三斗小屋温泉16:05
行動時間 3:10、歩行時間 2:55、歩行距離:5.8km、累積標高差:+465、-273m
山の会の仲間との山行は三斗小屋温泉とシャクナゲとシロヤシオの咲く那須岳の山旅です。かつての三斗小屋宿は会津中街道の宿場として栄えたところで江戸時代末期には白湯山信仰の参詣者でにぎわったと言います。戊辰戦争では会津軍が駐屯し政府軍と激しい山岳戦争が繰り広げられ三斗小屋宿は焼失しました。
白湯山信仰は出羽三山信仰を勧請したもので白湯山、月山・高湯山(茶臼岳)、朝日岳の三山を、途中にある36ヶ所の拝所を参拝しながら登ったと伝えられています。白湯山は茶臼岳山腹の温泉湧出源で御宝前と呼ばれていました。
三斗小屋宿には往時の灯篭や塔碑などが今も残されています。また湯本からは高湯山参拝道も開かれ途中には高湯山石碑や弥陀ヶ原の地名が残っています。
途中、事故などの渋滞で沼原には1時間半遅れ、広い駐車場はすでにたくさんの車で賑わっています。ツアー登山なのか駐車場わきにはバスも停まっていました。
登山口は駐車場の奥、熊注意の案内板からカラマツ林の中をたどる遊歩道のような道が始まります。この時期、ツツジの花を目当てに付近を散策している軽装の家族連れなども多いようです。
沼原湿原の先には三斗小屋温泉への道標、ここからは本格的な登山道が始まります。カラマツの林の中をしばらく登って行くと日ノ出平への道を右に分けます。
ここからは笹がうるさい急な登りが始まります。やがて登山道は山腹を巻くように若葉色の雑木林の中を登って行きます。登山道脇には赤紫色のムラサキヤシオ、オオカメノキや今を盛りに咲き誇るアズマシャクナゲを見付けることができます。
やがて視界が開けると目の前に白い噴煙を上げる茶臼岳がそびえています。その先は姥ヶ平と三斗小屋温泉の道を分けるところ、我々は御沢へと下って行きます。
御沢には立派な木の橋が架かっていました。ここからは急な登り返し、しばらく登ると峰の茶屋跡から下ってくる道を合わる分岐点です。
分岐からはおよそ20分、たどり着いた三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋の2件の山宿が建っています。煙草屋の前には天泊している若者もいました。
宿の夕食は太鼓を合図に大広間で、赤いお盆で焼き肉と川魚の甘露煮、それと山菜の煮物などです。電気も通じていない山小屋としては肉や魚など食材も努力しているようですがヘリコプターとボッカの荷揚げではなかなか大変なのでしょう。
食事の後には個室に戻っておつまみとビールなどで消灯時間まで盛り上がっていました。
三斗小屋温泉7:10-温泉神社7:15/20-1680m稜線下8:00/05-隠居倉8:20/25-熊見曽根分岐8:50/9:15-1900m峰下9:25/45-中の大倉尾根分岐10:15-1555m付近(昼食)11:10/35-マウントジーンズスキー場分岐11:55-北温泉12:55
行動時間 3:45、歩行時間 3:20、歩行距離:8.6km、累積標高差:+605m、-970m
朝も太鼓の合図に朝食です。温泉卵と味付け海苔、ツナのあえ物それとみそ汁などです。昨夜は少し雨も降っていたようです。雨は上がっていますが朝から強い風が吹き抜けています。
テレビも見られないようで天気予報が判りませんが昨日の天気とくらすでは1500m付近で15m以上の強風とか、隠居倉に登り朝日岳、茶臼岳に向かうか峰の茶屋から茶臼岳に向かうか判断に迷うところです。
雨具などを着込み出発、まずは温泉神社に参拝することにします。石段を登ると立派な彫刻が施されている小さな社が祀られた温泉神社です。
我々の先には20名ほどのツアー登山のパーティが2組、熟年のハイカーも多いようなので我々も登れるかと言う安易な考えで隠居倉を目指すことにしました。
見上げる稜線は雲が流れているようですが風はあまり強くありません。しばらく登ると三斗小屋温泉の源泉、白い噴気の中に温泉を引き込むパイプなどが見えています。
源泉を離れると登山道は灌木の中を登って行きます。鎖が張られた急坂を登ると隠居倉から続く稜線です。目の前には流れる雲に頭を隠した茶臼岳が見えていました。振り返ると沼原の調整池、その右には流石山や大倉山、その山肌には残雪も残っています。
稜線をしばらく登ると隠居倉です。立派な方位盤とベンチがありましたが強い風の中展望を楽しむ余裕はありません。ここからは熊見曽根へと続く稜線歩きです。右手がザレタ個所や小さな岩場などはありますがそれほど危険なところはありません。所々にはシャクナゲや咲き残ったミネザクラなどを見付けることができます。
風は流石山方面から吹き抜けていますが僅かに稜線の右手をたどっているようでそれほど強くがありません。
熊見曽根の稜線にたどり着くとそこは強風が吹き抜けるところ、立っていることもできません。岩陰に身を隠そうとしますが吹き荒れる風に煽られバランスを崩してしまいました。
ここから朝日岳、剣ヶ峰を通り峠の茶屋に向かうには鎖も張られた岩場、この風の中では危なそうなため中の大倉尾根から北温泉へ下ることにしました。
1900m峰へ登って行く稜線も強い風で歩くこともままなりません。山頂直下の岩陰に腰を下ろし一休み、雨具などを着込んでも体温が下がっているようです。これで雨でも降っていれば低体温症という危険もあるのでしょう。
1900m峰からは清水平へ、ここから緩やかに登り返すと北温泉への分岐です。三本槍岳から下って来た人の話では山頂は雲に覆われ樹氷も付いているとか、ここは迷わず中の大倉尾根を下ることにしました。
緩やかに下る尾根道は風も幾分緩やかになってきました。登山道にはシャクナゲやミネザクラ、ムラサキヤシオの花が咲いています。リフトを利用して中の大倉尾根を登ろうとする軽装のハイカーが登ってきます。しかし風が強いことを知ったのか途中で引き返す人が多いようです。
緩やかになった登山道に腰を下ろして昼食、さらに下って行くと雑木林の中を緩やかに下って行くことになります。
咲き残ったシロヤシオを眺めながらさらに下るとマウントジーンズスキー場のゴンドラへの道が分かれています。ここからは遊歩道として整備されているようで観光を目当てに登ってくる人も多いようです。
シロヤシオの花柄に覆われた遊歩道をしばらく進むとリフトへの分岐、さらに下って行くと北温泉へ0.5kmの道標です。ここからは荒れ気味の木の階段を下って行きます。しばらく下ると余笹川に架かるアルミの橋、黒塗りの北温泉は目の前でした。
ここからは沼原の駐車場に車を取りに向かいます。タクシーで7,800円ほど、那須岳を半周するわけですがそれほどは高くないようです。
沼原の駐車場からは北温泉に戻ります。下り始めると若い2人連れが歩いています。聞けば那須岳に登ったが風が強く日ノ出平から沼原に下って来たと言います。ここから県道までは舗装道路を6km以上、そこは若者であまり気になっていないようです。大丸温泉尾駐車場まで送って行きましたが頼もしいのやら、我々も若いころはあまり詳しく調べもせず山を歩いていたのかもしれません。
最初の予定では白笹山のシロヤシオ、しかし三斗小屋温泉のスタッフの話ではすでにシロヤシオは終わったと言います。今年の山の季節は早く進んでいるのか遅れているのか良く判りません。
登山道にはムラサキヤシオの花、アズマシャクナゲも咲いていました。確かにシロヤシオの季節はもう過ぎていたようです。