那須岳の南西に位置する南月山はすでに活動を終えた古い火山です。出羽三山信仰にちなんだ信仰の名残から南月山と名付けられた山で、日ノ出平とともにミネザクラやシャクナゲの咲く山として多くのハイカーが訪れるところです。
昨年、山の会で計画した市民ハイキングは沼原から日ノ出平を通り那須岳を目指しました。期待していたミネザクラはまだ固い蕾で、満開の花をめでる山旅は時期を特定することが難しいことを実感させられました。今回はそのリベンジを兼ねての山行です。
たどり着いた沼原の駐車場には平日にもかかわらず思いのほか多くの車が止まっています。しかし、沼原湿原を散策する人が多いようで、日ノ出平に向かうハイカーはあまり多くないようです。
駐車場からは湿原に向かって歩き始めます。木道が続く小さな湿原はサザン草の咲くところとして知られていますが、この時期ザゼンソウの花はすでに終わっています。湿原に目を落とすと一面にハルリンドウが水色の花を付けていました。
落葉松の明るい林の中を緩やかに登り始めます。道端にはタチツボスミレのほかエンレイソウなどの花が春の日差しを浴びていますが、あまり珍しい花を見つけることはできません。
三斗小屋温泉への道を左に分け少し登ると、登山道は右手の明るい尾根に向かって登って行くようになります。稜線にたどり着いたところには大きな岩があります。ここで最初の岩で小休止です。
一休みしたのち、明るい尾根道を登っていきます。左手の木立の中にはピンクのシャクナゲの花が彼方此方に咲き始めています。思いのほか急な登りに息を切らせながら高度をあげて行きます。振り返ると青い水をたたえた沼原の調整池が春霞みの中に浮かんでいました。付近にはミネザクラの花も咲き始めています。しかし満開にはもう少し時間がかかるようです。
日ノ出平の道端で昼食です。何処か学校の登山遠足でしょうか、南月山からたくさんの子供たちが茶臼岳を目指していました。
ここからはのミネザクラなど灌木の広い稜線を南月山へ向かいます。この稜線は風の通りぬけるところで、沼原方面から吹き上げる風で帽子も飛ばされそうです。振り返ると白い噴煙を上げる茶臼岳の赤茶色の山肌がそびえていました。
たどり着いた南月山は火山の名残を残すところで、山頂付近は黒い火山歴に覆われています。山頂には2等三角点が建っています。ここは山岳信仰に色を残すところで、赤い涎かけを付けたお地蔵さんや、石祠が祀られていました。
南月山からは白笹山を目指します。黒尾谷岳を左に眺めながら緩やかに下って行きます。付近一帯はアズマシャクナゲの群生地で、コメツガの林の中にピンクの大きな蕾が開き始めていました。この稜線ももう暫くするとアズマシャクナゲのピンクの花で彩られるようです。
一度鞍部に下り小さく登り返したところが白笹山の山頂です。小さな標柱がなければ見過ごしてしまいそうな山頂です。
ここからは山肌にまだ雪の残る流石山を眺めながら沼原っへと下っていきます。この付近一帯はシャクナゲとシロヤシオの群生地です。まだ蕾は固いようですがしばらくすると山肌を真っ白に染め上げるシロヤシオの花に出会うことができるようです。道端にはバイカオウレンが咲いていましたバイカオウレンを見ながら沼原の駐車場を目指しました。
南月山周辺の山は比較的早く火山活動が終息したため、今も噴煙を上げる茶臼岳と違い、山の花に恵まれたところです。日ノ出平周辺はミネザクラ、南月山周辺はアズマシャクナゲ、白笹山はシロヤシオの咲く山として知られています。