11月になれば北海道の山はもう冬。小春日和を楽しむ山行は期待すべくもありません。高い山々はもうすっかり冬将軍に支配されているようです。その中にあって樽前山は、太平洋側に近いこともあって比較的雪も少なく、まだ晩秋の名残が残っているようです。
札幌市内から支笏湖を目指し国道453号線を南に。右手に見える空沼岳や漁岳は、もうすっかり冬の衣を着ていました。支笏湖も紅葉はすっかり終わり、青い湖面ももう冬の色に変わっています。湖畔を半周。ポロピナイから道を左に折れ、樽前山の登山口に向かい林道を登って行きます。辺りの木々はすっかり葉を落とし、この付近ももう冬はすぐそばまでやってきているようです。
たどり着いた登山口からは、明るいミヤマハンノキの潅木林の中を登り始めます。しばらく登ると視界が開け、振り返ると青空の下に青い水をたたえた支笏湖が広がっています。火山特有な赤茶けた石ころの登山道を登って行くと、やがて外輪山の一角にたどり着きます。正面には特長のある樽前山の溶岩ドームが白い噴煙を上げていました。
ここからひと登りすると東山の山頂。晴れ渡った晩秋の空の下に、支笏湖が青い水をたたえていました。目の前には風不死岳。対岸のひときわ高い頂は恵庭岳です。さらにその左手には、もう真っ白に雪を被った後志羊蹄山。振り返ると苫小牧の町並みと、緩やかに弧を描く太平洋の海岸線。まさに360度の展望が目の前に広がっていました。
山頂から火口原に中に続く踏み後をたどると、盛んに白煙を上げている墳気口。今年の春からこの山の火山活動は活発になっているとか。現在、この山への登山は自主規制ということになっているようです。確かに以前に比べれば噴気の量も多いようです。噴気口からは東山の分岐点を通り登山口に戻ることとします。もう北国の冬は目の前。このような好天に恵まれるのもあと幾日あるでしょうか。