何度か登ろうとして登ることのできなかった昆布岳。内陸にありながら海に因んだ昆布の名を持つこの山は、尻別川を挟んでニセコ山塊に対峙する位置にあります。標高は1,000メートルを僅かに超える山でありながら、付近に高い山もなく、また山頂部分が突き出していることから、遠くからもよく目立つ山です。
札幌から国道230号線を中山峠へ。ここから後志羊蹄山の麓を回り国道5号線へ。西富から昆布岳の裾野を回り込むようにして登山口に向かいます。登山口の駐車場には、すでに数台の車が停まっていました。
萩の花が色付く民家の脇から、カラマツの林の中を緩やかに登りはじめます。この道は古い造林用の道だったようで、轍の跡が残っていました。しばらくすると登山道は明るく開けた草原の中を登って行くようになります。道の両側にはハンゴンソウやヒヨドリバナなどの秋の花が咲いています。道端には1合目、2合目と、指導標が建っていました。たどり着いた5合目は小さく開けた所で、右手にメガネ岩という岩がそびえています。この付近の木の葉は、そろそろ紅葉し始めていました。この道端に腰を下ろし小休止です。
5合目からは再び緩やかな登山道を山頂へと登って行きます。一度小さく下った登山道は再び緩やかに7合目まで。ここから登山道はようやく山道らしくなってきます。急な登りにあえぎながら稜線に出ると視界が開け、目の前にこれから登る昆布岳の山頂が眺められます。この付近はすでに秋の盛りを迎えているようで、オオカメノキが真っ赤に紅葉していました。
一度、小さな沢に下ると山頂に向かっての急登が待っています。ハイマツが生える稜線から続く露岩帯をよじ登り、山頂直下の急坂をひと登りすと狭い山頂にたどり着きました。すでに2組のパーティが食事の最中。我々もコッヘルを出して昼食とします。雲は低く垂れ込めていますが、付近に視界をさえぎる高山がないこともあって、広い展望を楽しむことができます。左手は洞爺湖。その向こうには太平洋が広がっていました。
昼食の後、往路を登山口へと戻ることとします。単調な登山道を往復するのは、ちょっと物足りないものです。車を登山口に置いているので仕方ない事もありますが、北海道の山ももう少し変化のある山道があっても良いものです。山頂から1時間40分。駐車場が近づいた頃、我々の下山を待っていたように空から雨が落ちてきました。