オロフレ山は壮瞥から登別に抜けるオロフレ峠の傍らに頭をもたげる小さな山です。オロフレ峠が登山口のこともあり、小さな子供にも簡単に山頂に立てる山として、家族連れにも人気の山です。また低い山にもかかわらず高山植物も豊富で、春先にはエンレイソウやシラネアオイに彩られる山です。
札幌から支笏湖、美笛をたどり北湯沢へ。ここで道を左に折れ、緩やかにカーブを登って行くとオロフレ峠にたどり着きます。目指す峠の駐車場は右手の道をしばらく入った所にあります。広く開けた峠からは、正面に噴火湾、降りかえると大きな後志羊蹄山を望むことができます。かなり人馴れしたキタキツネが一匹、観光客にエサをねだっていました。
土産もの屋の裏手から尾根道歩きが始まります。まだ雪が消えて間もない稜線は、まさに今芽吹きが始まったばかりのようで、潅木林の中にシラネアオイがピンク色の蕾を膨らませています。まだ咲きそろうには1週間ほどかかるのでしょうか。
やがて登山道は羅漢岩にたどり着きます。右手は大きく切れ落ち、南画の深山幽谷を感じさせるような眺めです。なだらかな稜線の道をしばらく進むと、大きな雪渓が登山道を覆っていました。
ここからは山頂に向かい、急な登りが続いています。笹に覆われた明るい斜面を登る道は、一足ごとに視界が開ける心地良い登りです。露岩帯の登りにひと汗をかくと、ほどなく広く開けたオロフレ山の山頂にたどり着きました。
山頂からの展望はなかなか素晴らしいものがあります。正面にはホロホロ山と徳舜瞥山、その向こうに大きな裾を広げているのは山頂から白い噴煙を上げている樽前山です。その左手には大きな後志羊蹄山。その山肌はまだ白い雪に覆われています。さらにその左手には大きな洞爺湖。対岸には荒々しい山肌を見せる有珠山と白い水蒸気を上げる昭和新山。標高1,230メートルの山にしては360度を一望すことができる眺めです。
山頂で昼食の後、往路をたどりオロフレ峠に戻ることとします。道端の春の花を愛でながらおよそ1時間半。山の規模としては札幌の藻岩山程度の山にもかかわらず、たくさんの花に彩られる山旅でした。
オロフレ山は思いのほか高山植物に恵まれた山です。まだ満開にはしばらく早いようですが、登山道の傍らにはシラネアオイが咲いていました。日光の白根山がその名のはじまりといわれるシラネアオイは、鹿による食害や盗掘で本州の山ではほとんど見ることのできなくなった花です。しかし北海道では、近くのホロホロ山や恵庭岳などでも、大きなピンクの花が咲いています。北海道の山ではごくありふれた花のようです。
まだ花も咲いていませんでしたが、この山に咲く花はガンコウラン、コケモモ、エンレイソウ、シロバナエンレイソウ、ツバネオモト、サンカヨウなど。羅漢岩の付近には盗掘で少なくなったようですが、イワカガミも咲くようです。