道央の山にしては珍しく急峻な岩場を持つ山に徳舜瞥山があります。登山口が標高700メートルほどと高いこともあって、山頂までは1時間半程度で登ることができる山ですが、山頂からは支笏湖、洞爺湖、噴火湾を挟んで渡島半島を望む一級の展望を楽しめることができます。また山頂直下にはお花畑もあり多くの花にもめぐり合えるところです。今日は徳舜瞥山と隣のそびえるホロホロ山に、北海道の春を訪ねてみることにしました。
札幌から国道453号線を支笏湖へ。春の遅い北海道の山も、もう沢沿いの一部に雪を残すだけ。山は今が春の真っ盛りです。支笏湖から美笛峠を越えしばらく走ると三階滝の入り口です。目指す登山口はおおたき青年の家から山道を登った所にあります。大きな駐車場にはすでに10台ほどの車が停まっていました。
登山口から沢沿いの道をしばらく登って行くと、暗い針葉樹の林の中を登る道になります。しばらく登ると小さな沢を渡ることになります。ここから道は標高970mの稜線に向かい、急な斜面を登って行きます。ジグザグを繰り返すたびに高度を上げて行くと、山肌の木々も明るい広葉樹の林に変わってきました。やがて左手に三階滝から登ってくる旧道を会わせると、登山道は背丈の低いダケカンバの中を登って行くようになります。道端の花もシロバナエンレイソウやサンカヨウなどが目に付くようになってきました。
急な登りにそろそろ足が辛くなってくる頃、目指す徳舜瞥山の山頂にたどり着きました。山頂は道央の山には珍しく、正面が高度感のある崖となっています。ここからの展望は期待にたがわず、なかなか見応えのある景色です。降りかえると支笏湖と岩峰を戴いた恵庭岳、その右手にはまだ山頂に雪を頂く後志羊蹄山、さらにその左手には洞爺湖と有珠岳を望むことができます。
山頂からはホロホロ山への縦走路が続いています。付近一帯は今を盛りに高山植物が咲き乱れている所。春の遅い北海道は、雪解けとともに一斉に花の季節を迎えるようで、雛菊のようなミヤマアズマギク、白い花はイチリンソウ、しばらく縦走路を下って行くとシラネアオイがピンクの花を咲かせていました。
一度鞍部に下り、ホロホロ山へと急な登りに汗を流すことにします。にわかに雲行きがおかしくなってくると、大粒の雨が落ちてきました。山の中で雨に遭うのも久しぶりです。たどり着いたホロホロ山の山頂は、徳舜瞥山に劣らぬ広い展望を楽しむことができます。目の前には支笏湖と樽前山が大きな裾野を広げていました。山頂から広がる雄大な展望を眺めながら昼食です。
昼食の後、往路をたどり登山口へ戻ることとします。一度鞍部に下ったのち、徳舜瞥山への急坂をひと登り。それほどの距離ではないものの、帰りの登りは疲れるものです。たどり着いた徳舜瞥山の山頂からは、往路をたどり登山口へと下ることにします。
登山口からは、近くの北湯沢温泉に立ち寄り、汗を流して行くこととしました。たどり着いた水名閣は北湯沢でも最大のホテルで、日本一の露天風呂があると言います。広い風呂には大きな湯船が3つほど。日本一という露天風呂は、階段を降りたところにありました。
徳舜瞥山とホロホロ山は花の多いところです。徳舜瞥山から少し下った鞍部にはピンク色の花を付けたシラネアオイが群生していました。シラネアオイの名前の語源となった日光の白根山では、めっきり数の少なくなったこの花も、北海道ではごくありふれた花のようです。
山頂が1,300メートルの山でも、年間を通じ気温が低いためか、本州の2,000メートル峰を思わせるようなお花畑が広がり、短い夏に向かい一斉に花を付けています。北海道の山は今が一番良い季節のようです。