樽前山は明治42年の噴火により出現した巨大なドームを持つ三重式の火山です。最高峰である1,041mの中央ドームは今も盛んに墳気を上げていることから登山禁止区域。このため外輪山の一角である東山、標高1,023mを最高峰としています。目指す登山口は支笏湖の湖畔を半周した原生林の中にあります。
七合目である樽前ヒュッテの駐車場はすでにたくさんの車で溢れています。駐車場傍の路上に車を停め、登山案内の標識が置かれた登山口から山頂を目指すこととします。ミヤマハンノキの潅木林の中をしばらく登ると視界が開け、ウコンウツギのクリーム色の花が咲くお花畑が始まります。まだ残雪の残る明るい斜面には、コケモモのピンクの花が彩りを添えています。火山特有の赤茶けた登山道を登って行くと、ほどなく外輪山の一角にたどり着きました。残念ながら辺りは霧に覆われ、特徴のあるドームもその姿を見せてはくれません。ここからは道を左に取り外輪山をたどると樽前神社の鳥居にたどり着きました。
樽前神社からさらに外輪山をたどって行くと標高994.6mの西山です。あたりは霧に包まれ視界はまったく利きません。ここで西山山頂から西に続く尾根道を下り始めてしまいました。しかし登山道は途中で消えてしまいます。不安に駆られ地図を確かめると、登山道は西山から火口原を戻るように続いているようです。深い霧の中、このような開けた地形では道を踏み外しやすいものです。さらに火口原に下りた後も霧で登山道を踏み外してしまいます。外輪山に囲まれた狭い火口原の中とは言いながら危ないものです。殺伐とした火口原の中をしばらくたどると火山ガスがゴーゴーと噴き出している噴気孔。この山の地下には今も熱い地底の息吹が息づいているようです。
噴気口から火口原をしばらく進むと、先ほど登ってきた外輪山の一角にたどり着きました。霧に包まれたとは言いながら、考えていた方向とはかなりの違いがあります。方向感覚はそれほど悪くないと思っていましたが少し自信を失いそうです。この道端に腰を下ろし、中途半端な時間となった朝食です。
朝食の後、外輪山の稜線にひと登りすると東山の山頂です。数人のパーティが休息していました。霧が晴れはしないかとしばらく様子を見ることとしましたが期待は薄いようです。仕方なく今朝ほど登ってきた道を駐車場へと下って行くこととしました。登山口からは小さな子供の手を引いた家族連れや中年のパーティ、恋人同士でしょうか、若い2人連れが登ってきます。比較的簡単に山頂を踏める山のためか、登山経験の少ない人も多い山のようです。