丹沢の西南に位置する不老山は、丹沢や箱根の山並みと富士山の好展望台として、冬の陽だまりをたどるワンデイハイクには絶好の山のひとつです。交通の便が悪いためか西丹沢に比べ訪れる人も少なく、静かな山旅が期待できる山です。ガイドブックによると登山コースは丹沢湖近くの浅瀬から登るコース、御殿場線の駿河小山から登るコース、山市場から登るコースなどが紹介されています。
新宿から小田急線で新松田へ。新松田の駅に降り立つと御殿場線の駿河小山に向う電車はすでに出てしまった後のようです。少しの待ち合わせで西丹沢行きバスがあると言います。今回はこのバスを利用し、山市場側から山頂を目指すことにしました。
棚沢のキャンプ場から長い吊り橋で河内川を渡ります。ここからは御茶畑の中に建つ指導標に導かれながら、雑木林の中をジグザグに登っていく登山道に取付きます。しばらくすると登山道は暗い桧の植林帯の中を登る山道となります。散弾銃を肩にし猟犬を連れたハンターが一人、山道を下ってきました。今この付近は狩猟シーズンの最中とか。でもハイカーが入り込んでいる山道での狩猟は少し不安なものです。
尾根筋に登ると道は幾分緩やかになり、明るく伐採された山肌をたどるようになります。展望も広く開け、左手には箱根の山並みが霞んでいます。登山道には長い霜柱が立ち、所々に白く雪も残っていました。番ガ平の指導標からしばらく登った小尾根では、右手の展望が大きく開け、多少霞んでいるものの、丹沢の山々がその姿を見せてくれます。正面、箒沢の奥には畦ヶ丸、その奥に加入道山や大群山など山々。右手には檜洞丸、蛭ヶ岳など丹沢最深部の山頂が続いていました。
番ガ平から再び開るい草尾根を登っていくと、突然砂利道に飛び出しました。バンが2台、ここからの景色を眺めながら停まっています。砂利道を越え小さな鞍部から登り返すと不老山の山頂です。山頂を示す指導標が立っていなければ通り過ごしそうなひっそりとした頂きです。植林された木々が伸び過ぎたようで、山頂からの展望はほとんど望めません。
不老山の山頂から広い尾根伝いにしばらく進むと金時公園へ下る分岐点。今日は右手の道を尾根伝いに世附峠へと下っていくことにします。雑木林の中の急な下り坂は落ち葉が軽く道を覆い、若干滑りそうです。やがて下り坂も少し緩やかになってくると、広く開けた世附峠にたどり着きました。
ここから駿河小山までは砂利の車道をおよそ2時間。単調な下りも気分的に疲れるものです。振り返るとそろそろ低くなり始めた冬の日を浴び、大きな不老山の頂きが明るくそびえていました。