田代橋9:40-はなじょろ道入口10:20-(はなじょろ道)-ヒネゴ沢乗越11:20/25-高松山11:50/12:25-尺里峠13:05-(虫沢古道)-龍王寺13:55-田代橋14:20
表丹沢の前衛に位置する高松山には「高松山とはなじょろ道・虫沢古道」と呼ばれるハイキングコースが整備されています。かつては山北の八丁地区と虫沢を結ぶ生活の道で花嫁さんや炭焼きの荷駄が行き来していたと伝えられるところです
田代橋からは春の花が咲き始めた舗装道路を緩やかに登って行きます。このコースは5年前に地元の虫沢古道を守る会が整備したところで道端には手作りの道標が建っていました。
虫沢川に沿って登って行く道は明るい光に包まれた集落の中を登って行きます。しかしこの地区もまた過疎化が進んでいるようで、案内の幟などは立っているもののあたりは閑散としています。黄色い三日月を屋根に載せたサーカス芸能学校もありましたが人影はありませんでした。
たどり着いたヒネゴ沢の先がはなじょろ道の入り口です。ここからは暗い杉林の中を登る山道が始まります。良く整備された道はヒネゴ沢に沿って緩やかに登って行きます。所々に建てられた道標を数えながら単調な登が続いていました。
しばらく登ると暗い斜面にミツマタの黄色い花が咲いていました。日の差すところはすでに満開を迎えています。今年の花の季節は駆け足でやって来ているようです。
やがて登山道は小さな沢に下って行きます。案内板が建てられた炭焼き窯跡は昭和30年代まで炭焼きが行われ、山里の糧として生活を支えていたようです。
ジグザクを切り乍ら登って行く登山道はヒネゴ沢乗越にたどり着きました。右手をたどる道は西ヶ尾を越えジタンゴ山へと続いていると言います。
登山道は左手の杉林の中を中を緩やかに登って行きます。岩場注意と書かれた案内板の先は小さな岩場、しかし固定ロープを張るには少し仰々しそうなところです。
やがてビリ堂から登ってくる道を右手から合わせると程なく高松山の山頂です。気温も上がっているようで靄に包まれた空の下には箱根の山影も霞んでいます。目の前はカヤトの原を頭に載せた大野山、その上には雲の上に富士山が頭だけを出していました。
山頂からは尺里峠へと下ることにします。立派な鎖が張られた道は男坂、左手の林の中には緩やかな女坂があるようです。
暗い杉林の中を下る道は木の根も少ない歩きやすい道です。この道は高松古道とも呼ばれているようで道端には高松古道と書かれた道標が建っていました。
この時期の丹沢は彼方此方でミツマタの花に出会うことができます。大山北尾根の地獄沢や西丹沢のミツバ岳などが知られていますが、この尾根道にも木漏れ日を浴びたミツマタの群生地がありました。
しばらく道を下ると目の前が開けた展望台があります。頭が開けた小さな頂は先月登った松田山、高松の集落へと下って行く尾根は梅の花明りが春の訪れを語り始めているようです。
近くの桜平には大きな桜の古木があります。花の時期には明るいお花見の道になるようです。案内板にはガマズミやマユミなどの紹介もありました。
やがて登山道は尺里峠にたどり着きます。馬頭観音なのか古い石仏の隣には虫沢古道を守る会が建てた他化自在天の石碑が祀られています。
尺里峠先の小ピークは第六天と呼ばれていたようでです。wikipediaなどによると「他化自在天は、三界における欲界の最高位、かつ六道の天上界の最下部である六欲天の第六天。欲界の天主大魔王である第六天魔王波旬の住処」とか。この峠付近は仏教の匂いが今に残るところです。
ここからは虫沢に下って行く舗装道路歩きです。しばらく下ると道端に虫沢古道の案内板が建っています。枯れ葉が厚く積もる道は虫沢と高松を結ぶ古い生活の道であったのでしょう。
お茶畑の傍を緩やかに下って行くと目の前は虫沢の集落です。梅の花が集落を彩る春景色の上には710mの無名峰、ジタンゴ山は右手の稜線の上のようです。
龍王禅寺の境内を通り抜けるとはなじょろ道へと登って行った舗装道路にたどり着きました。車を停めた田代橋までは僅かの車道歩きが待っていました。