古くから霊山として人々の崇拝を集めてきた八海山、魚沼市にそびえる岩峰は入道山を最高峰として地蔵岳、不動岳、七曜岳、白河岳、釈迦岳、 摩利支天岳、剣ヶ峰の岩峰が続いています。また八海山は越後駒ヶ岳、中ノ岳とともに越後三山として多くの登山客を集めているところです。
八海山ロープウェイの案内板によると八海山の山名は八つの峰、八つの谷または山上に点在する八つの池に由来すると言われています。皇海山や鳥海山、荒海山など海が付く山は幾つかあるもののやはり珍しいものです。
ロープウェイの山頂駅からは紅葉に包まれた尾根道を登って行きます。途中、視界が開けた稜線からは紅葉に彩られた薬師岳の山肌、その上に小さく八海山の岩峰がそびえていました。
一度小さく下った登山道は大倉へと下って行く道を左に分け、女人堂への急な登りが始まります。左手には巻き上がる雲に頭を隠した越後駒ヶ岳がそびえています。木の根につかまりながらたどり着いた開けた台地には女人堂が建っています。古くは八海山も女人禁制の山であったようで、女性はここから山頂を遙拝したと言います。女人堂の脇には八海山大神の黒い石碑が建っていました。
ここから薬師岳の稜線までは急な登りが続いています。目の前にそびえる山肌には樹木がなぎ払われた雪崩の跡が残っていました。急な登りに息を切らせながら登って行くと祓川と呼ばれる水場にたどり着きます。昔の行者はこの水場で斎戒沐浴して山頂を目指したのでしょう。
やがて急な登りは鎖場に差し掛かります。鎖といっても雨の日などには役に立つでしょうが鎖に頼らなければならないような岩場ではありません。たどり着いた薬師岳は広く開けた尾根の上といったところで、石像と各地の八海山講でしょうか、たくさんの石碑が祀られていました。目に前には千本桧小屋、その上に紅葉に彩られた地蔵岳の岩峰がそびえています。
一度小さく下り登り返すと千本桧小屋です。ここは行者堂となっているようで中に入ると八海山大神の祭壇が祀られています。
千本桧小屋の傍らで少し早い昼食です。目の前には越後駒ヶ岳から中ノ岳へと続く稜線が広がっていますが、気温が少し高くなっているためか白く濁った空の下にせっかくの紅葉もくすみがちです。
地蔵岳はNHKの大河ドラマの天地人のオープニングに使われている所で、大勢の人が山頂を目指しています。急な岩壁を鎖を頼りに登ると地蔵岳と不動岳の間にたどり着きます。目の前は切れ落ちていますが、それほど高度感もなく長い鎖のある一般の登山道といったところです。小さく登った頂が地蔵岳の頂。目の前には丸い屋根をした千本桧小屋、その先には紅葉に燃える屏風沢、まさに絵になる紅葉を一望することができます。
地蔵岳から続く稜線の先は不動岳です。登り返した小さな頂の上に立つと目の前には七曜岳から続く八海山核心部の岩峰が見えていました。これから先は長い鎖場が続くと所と言います。
不動岳からは薬師岳に戻りました。地図の上ではこの頂に三角点があるということで、藪を踏みわけ稜線の先まで探しに行きましたが三角点を見つけることはできません。後日、国土地理院のホームページから三角点の成果を確認しましたが、点の記も添付されていなようで正確な位置は知ることができませんでした。
女人堂で一休みしたのち、ロープウェイの山頂駅を目指して明るい尾根道を下って行きます。午後の日を浴びた山肌はますます紅葉の色を濃くし、今年最後の艶やかさを競っているようです。
山頂駅近くには展望台があります。ロープウェイでここまで登ってきた観光客が八海山の山頂を眺めています。登りではあまり目立たなかったようですが薬師岳の上には小さなコブのように地蔵岳から続く岩峰がそびえていました。