日本百名山に選ばれた草津白根山は白根山、逢ノ峰、本白根の山々から成る火山の山です。今も噴煙を上げる白根山付近は立ち入り禁止で、最高点である本白根山の山頂にも登山道はなく探勝歩道最高地点が訪れることができる最高地点です。
観光客で賑わう草津の温泉街から国道292号線を登って行くと今でも噴煙を上げている殺生河原。今でも硫黄の臭気が漂う山肌を眺めながらカーブを繰り返すと、湯釜の散策路が続く白根火山駐車場にたどり着きます。
湯釜は草津白根山のシンボルです。コバルトブルーの水をたたえる火山湖はPh1という強酸性で、魚などは全く住むことができない世界と言います。
湯釜への遊歩道は有毒ガスの影響で変更されたのか、左手の山の上へと登っていました。たくさんの観光客と一緒に木の階段を登って行くと、目の前にコバルトブルーの湯釜がその姿を見せてくれます。蔵王のお釜や鳥海山の鳥ノ海など、火山湖は独特の色をするものが多いですが、湯釜は怪しいほど深いコバルトブルーの水をたたえていました。
湯釜からは本白根山に向かうことにします。駐車場のレストハウスの向から白根山ロープウェイの山頂駅までシャトルバスが出ていました。
たどり着いたロープウェイの山頂駅からは冬はスキー場となるリフトでリフト山頂駅へ向かいます。振り返ると逢ノ峯の頂きの先に白根山、その先には志賀高原の横手山がそびえています。ここから稜線上の山道が始まります。木道を緩やかに登って行くと古い噴火口である涸釜(から釜)です。登山道は涸釜の渕をめぐるように本白根展望所の分岐点を目指して下って行きました。
右手の斜面は高山植物の咲くお花畑で、最盛期は過ぎたようですがコマクサが赤い花を付けています。お花畑にはヒメシャジンの花も見付けることができます。
斜面の上に目を向けると若いカモシカがじっとこちらを見ています。観光客の多い白根山では人に慣れているようで、驚く様子もなく悠然と茂みの中に戻って行きました。丹沢や奥多摩などではシカが多くなり過ぎている話はよく聞きますが、カモシカモまた個体数が多くなっているのかもしれません。
本白根展望所への道を左に分けると、万座温泉へと向かう道です。付近一帯はお花畑になっており、この時期はコキンレイカの黄色い花が咲いています。緩やかに登って行く道の最高点が白根山遊歩道最高点です。本白根山の山頂はハイマツの中を登ったところにあるようですが、現在は立ち入りが禁止されているようです。
付近一帯もコマクサの咲くところで、彼方此方に赤い花を見付けることができます。かってこの山域でも盗掘などにより、コマクサが消滅する危機があったと言います。しかし多くの人の移植活動などにより、現在の姿を取り戻すことができたようです。
遊歩道最高点からは本白根展望所へ向かいます。ここは涸釜の渕の小さなコブと言ったところで、広く開けた展望を楽しむことができるところです。夏空の下では遠望は期待できないものの、目の前には浅間山から湯ノ丸山へと続く山々、右に目を向けると本白根山の上に四阿山の頂き。振り返ると涸釜の上に横手山、その奥に岩菅山の頂きが霞んでいました。
広く開ける展望を楽しんだのち車を停めた駐車場に戻ることにします。ここ展望所からは涸釜を一回りしロープウェイの山頂駅に下ります。山頂駅からは逢ノ峯の巻き道をたどりレストハウスに下りました。
すでに夏の山を彩る高山植物の満開は過ぎてしまったものの、本白根山へ向かう登山道はたくさんの花に出会うことができます。一時、絶滅の危機にさらされていたコマクサも保護活動が実を結んだようで、砂礫の斜面にたくさんの群生を見付けることができました。
ロープウェイの山頂駅付近の斜面は今がヤナギランの最盛期です。山火事などの跡地や荒れ地に咲くと言う真っ赤な花はFireweedとも呼ばれています。ゲレンデ整備などで他の草花が刈り込まれた後、最初に芽を出すことからスキー場などでも見かけることが多いのかもしれません。