相模湖に影を落とす石老山は道志山塊のはずれに位置し、そのアクセスの良さと丹沢の好展望台として、ガイドブックにも数多く紹介された山です。簡単にその山頂に立てることから、小さな子供を連れた家族連れにも人気の山です。低山としては山頂からの展望も良く、また春先には山麓に桜の花が咲き乱れ、気軽なお花見ハイクを楽しめる山です。
中央自動車道の相模湖東の出口から一般道へ。都会ではすでに葉桜となっている桜の花もここではまだ散り始めたばかり。相模湖の湖畔を周遊する国道には花吹雪が舞っています。石老山入り口の石柱から道を右に折れ、指導標に従って舗装道路を登って行くと相模湖病院脇の駐車場にたどり着きました。
暗い杉林の中をたどる良く整備された登山道は顕鏡寺への参道のようで、仏教に因んだ名を付けられた奇岩、怪石が目を楽しませてくれます。屏風岩、仁王岩、駒立岩、力試し岩、文殊岩・・。
やがて目の前が開けてくると平安時代に開山されたという石老山顕鏡寺の山門が現われます。よく手入れの行き届いた庭園の中に本堂、左手の岩窟には虚空蔵菩薩が安置されていました。
顕鏡寺からは再び急な山道に汗を流すことにします。大天狗岩、小天狗岩、鏡岩などの奇岩に目を奪われながら高度を上げて行くと、擁護岩といわれる大岩に守られた顕鏡寺の奥ノ院にたどり着きました。ここからひと登りすると眼下に相模湖を見下ろす融合平。ここは今がソメイヨシノの満開です。
融合平からは明るい尾根道の登りを山頂へ。雑木林の明るい尾根道には、春の野を紫色に飾るスミレの花が咲いています。
たどり着いた山頂は南面が開け、目の前には大山、塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳などの丹沢の山々。左手には巌道峠から赤鞍ガ岳、朝日山へと続く道志の山塊。春霞の中には富士山も淡く霞んでいました。低山ながらなかなかの眺めです。
山頂からは往路を登山口へと戻ることにします。やはり低い山はピクニック気分の家族連れが多いようです。母親に手を引かれた小さな子供が山頂を目指していました。心地良い尾根道を下って行くと、今朝ほど車を停めた登山口にたどり着きました。