ツツジの咲く山として有名な袈裟丸山。5月中旬から6月下旬にかけてアカヤシオ、ムラサキヤシオ、シロヤシオ、ヤマツツジ、さらにはシャクナゲの花に彩られる山として、ガイドブックなどにも紹介されている山です。登山道は幾つか開かれているようですが、今回は折場口から前袈裟丸山の山頂まで、ツツジとシャクナゲの花を愛でる山行です。
たどり着いた折場口の空きスペースに車を停め木の階段を登り始めます。若葉色に包まれた雑木林の中をひと登りすると、登山道は左手が開けた支尾根を弓ノ手尾根に向かって登って行くようになります。左手にはこれから登る袈裟丸山の頂が青空の下にそびえていました。木の階段が付けられた尾根道はムラサキヤシオとシロヤシオがに彩られた明るい花の道です。右手の小さなピークに登ると若葉色の梢の先にこれから登る袈裟丸山の頂、左手には赤城山の大きな頂がそびえていました。
さらににツツジに彩られた稜線を緩やかに登って行きます。ムラサキヤシオの梢に先に袈裟丸山から奥袈裟丸山と続く頂きそびえ、まさに絵になりそうな眺めです。
なだらかな稜線をしばらく進んだところが賽ノ河原です。地獄の賽ノ河原を思わせるように、あちこちに火山岩の大きな石積みがあります。案内板によると子供を亡くした人が、ここで石を積むと、その子供に会えると伝えられているとか。その名が示すように袈裟丸山も宗教の色を残すところのようです。
小休止ののち心地良い稜線を避難小屋に向かって歩き始めます。左手の空き地に建つ大きなアンテナ。アメダスの測量計かと思いメンテナンス作業を行っている人に聞くと、国土交通省が管轄している雨量計とか。日光からメンテナンスをしながら降りてきたと言いますが、仕事の山登りはなかなか辛いものがありそうです。
小さなコブを越えしばらく進むと小丸山への登りです。途中、左手には直接避難小屋へと向かうふみ跡があるとのことで、小丸山には向かわずまき道を巻くことにしました。明るい白樺の林の中を巻いて行く道には、ピンク色のアカヤシオの花が咲き残っていました。
たどり着いた白樺林の鞍部には、黄色いカマボコ型の避難小屋があります。マットなども敷かれた比較的きれいな避難小屋で4人ほど泊まることができるようです。少し時間は早いようですが避難小屋の傍で昼食です。
昼食ののち、袈裟丸山への急な登りが始まります。深い笹のなかを進んでいくとコメツガの林の中を登る急坂です。右手には赤いシャクナゲの花がコメツガの深い緑の中に彩りを添えています。
ますます急になる登りに息を切らせるを山頂は目の前です。振り返ると梢の先に男体山や日光白根などの日光の山々。その手前に見える岩山は庚申山と皇海山でしょうか。やがて登りも緩やかになると一等三角点が建つ袈裟丸山の山頂にたどり着きました。
コメツガの木立が多少うるさいものの南側の視界は大きく開け、シルエットとなって大きくすそ野を広げる赤城山、北西側には縦走路の上に頭を持ち上げる奥袈裟丸山。霞んでいるものの青空の下には雪を被った谷川岳や上州武尊山の峰々、さらに右手には日光白根山などを一望することができます。
山頂からは往路をたどり折場口へ。昼食をした避難小屋には3人づれのパーティが泊まるようで、寝袋やマットなどの用意をしていました。明日は奥袈裟丸から先を目指す縦走を予定しているようです。
途中何度か小休止をしながら賽ノ河原へ下って行きます。ここで最後の小休止をしたのち折場口へ戻りました。
ガイドブックなどにも紹介されているように、袈裟丸山は全山、ツツジに彩られた花の山です。折場口付近は赤いヤマツツジ、弓ノ手尾根から小丸山への稜線はムラサキヤシオとシロヤシオが共演する花の道が続いています。小丸山の巻き道には我々を待っていてくれたように、淡いピンクのアカヤシオが咲き残っていました。