武甲山は関東百名山にもその名を連ねる秩父の明主で、古くからの信仰の山として崇拝されてきた山です。毎年12月3日に行われる秩父夜祭りでは、武甲山の竜神(男神)が山を下りて、秩父神社の妙見(女神)と逢瀬を楽しむと言われています。また武甲山は花の百名山にもセツブンソウの咲く山として紹介された山です。
外環自動車道、関越自動車道をたどり横瀬へ。横瀬からはセメント工場へ向かうトラックなどが行きかう埃だらけの道を登って行きます。やがて舗装道路が切れると妻坂峠へと登って行く道を左にわける一ノ鳥居の登山口です。暗い杉林の中には武甲神社の鳥居とオオカミと言う厳つい顔の狛犬が建っていました。
鳥居の傍の駐車スペースに車を停め生川に沿った舗装道路を登って行きます。バンガローや釣り堀などもありますがシーズンオフのためか人の気配はありません。道端には三丁目、四丁目と刻まれた石柱が建っていました。
しばらく舗装された山道を登って行くと暗い杉林の中を登って行く登山道が始まります。緩やかに登って行く登山道はよく整備された歩きやすい道です。道端に建つ石柱は短い間隔で十丁目、十一丁目と丁目を刻んでいきます。
不動滝からも暗い杉林の中をたどる緩やかな登山道が続いています。数日前の寒さと変わって気温も高くなっているようで、額からは玉のような汗が滴り落ちてきます。大杉広場手前の道端に腰をおろして小休止です。
小休止ののちしばらく登ると大杉広場です。天に向かって枝を拡げる大きな杉は、他の杉に比べはるかに太くまた大きく枝を広げていました。ここからはジグザグを繰り返しながら山頂に向かって坂道を登って行きます。石灰岩の露岩が多いところもありますが緩やかな登りが続く登山道です。
途中、道は二手に分かれます。左に進む道は階段が続くと言う階段コース。我々は右手の一般コースを登ることにしました。やがて五十丁目の丁目石が現れると山頂は目の前です。左手からシジラクボから登ってくる道を合わせると雑木林の中に建つ武甲山神社の前にたどり着きました。
紅葉に包まれた雑木林をひと登りすると武甲山の山頂です。フェンスに覆われた山頂はあいにくの曇り空。目の前に広がる秩父の街並みさえも白い靄に沈み込んでいました。
石灰岩の採掘でその山肌を削られ続ける武甲山。明治33年の測量では1,336メートルであったと言う山頂は41メートルも削り取られ1,295メートル。最近の測量では9メートル高い地点を山頂として1,305メートルと言われています。山頂を示す石柱にも1336-41+9とその変遷が刻まれていました。
山頂で昼食ののち、往路をたどり登山口へ戻ることにします。緩やかに下って行く登山道を1時間半。単調な山道に飽き始めるころ車を停めた登山口にたどり着きました。