清里の近くには八ヶ岳の好展望台として知られた飯盛山があります。おむすびのような山の形から、飯盛山と名付けたと言います。草に覆われた斜面は放牧地となっているようで、目に前にそびえる八ヶ岳を見ながら、のんびりとした尾根歩きが楽しめる山です。
また山麓には電波天文台として有名な野辺山天文台があります。ここに設置されている45m電波望遠鏡や10mほどの電波望遠鏡がたくさん並んだミリ波干渉計は世界でもトップクラスの性能とか。銀河中心のブラックホールなど天文学の世界で数々の実績を残した天文台です。
平沢峠に車を停め山頂を目指します。目の前には獅子岩があります。溶岩のような岩塊は八ヶ岳の噴火で飛んできたものとか。その上に立つと八ヶ岳連邦を一望することができるといいます。しかし生憎低い雲に覆われ、その姿を見せてはくれません。
登山口からはなだらかな登り坂が始まります。付近は放牧地になっているようで、登山道に沿って有刺鉄線の柵が続いています。しばらく登ると明るい稜線の上をたどる心地良い道になります。左手は広く開けた野辺山スキー場。まだ多少雪が残っているところを見ると、最近までスキーの営業が行われていたのでしょう。
ここからは平沢山の山肌を巻くようになだらかな登山道を進んで行きます。この草原は夏にはニッコウキスゲのお花畑になるところとか。しかし今は冬枯れの草原が広がっているだけです。目の前にはご飯を盛ったような三角形の飯盛山がそびえています。緩やかに稜線を進むとほどなく飯盛山直下の急坂にたどり着きます。清里駅から登ってくる登山道を右から合わせ、急な坂道にひと汗を流すと広く開けた飯盛山の山頂です。
小さな露岩の上からは遮るもののない360度の展望が広がっていました。左手に小さく頭を持ち上げるのは男山と天狗岳の岩山。その奥に霞むのは一昨年に登った御座山。右手に霞む稜線は特徴のある五畳岩を頭に載せた金峰山。振り返る八ヶ岳は巻き上がる雲に覆われその姿を見せてくれません。山頂の一角に腰を下ろし目の前の展望を楽しみながらコーヒーブレークです。
しばらくすると八ヶ岳の上にかかっていた雲も取れ、白い雪に覆われた横岳から赤岳、権現岳への稜線がその姿を見せてくれました。さらにその左手には真っ白な北岳と間ノ岳。その手前には地蔵岳から観音岳、薬師岳など鳳凰三山の山々。雲に霞みはっきりとは見えないものの、見飽きることのない展望が広がっています。
山頂で展望を楽しんだ後、車を停めた平沢峠へ下ることとします。時計はまだ10時を過ぎたばかり、峠からは小さな子供を連れた家族連れが息を切らせながら山頂を目指していました。