御座山は西上州の最高峰です。2,000メートルを越える山頂は切り立った岩峰に囲まれ、その頂からは八ヶ岳の峰々を目の前に眺めることができると言います。日本200名山のひとつに数えられる山ですが、小海線という地理的な理由から訪れる人も少ない静かな山旅が期待できる山です。
登山道は南相木村側から不動ノ滝を経て山頂に至る道、北相木村側の山口から山頂を目指す道、それと今回利用する白岩から山頂を目指す道が開かれています。
白岩の小さな駐車場にはすでに数台の車が停まっていました。登山口からは暗い雑木林の中を緩やかに登り始めます。9月とは言いながらまだまだ残暑の真っ最中。すぐに額から汗が滴り落ちてきます。緩やかな登山道は明るい雑木林の中を登って行きます。しばらくダラダラとした尾根道を登って行くと尾根も細くなり、道も急坂になってきました。やがてシャクナゲが目立つようになってくると、木の根を掴まりながら登る急坂です。
程なく登山道は見晴らし台にたどり着きました。目の前には四方原山など佐久の山々。左手には御座山の稜線越しに八ヶ岳を望むことができます。ここからの登山道もツガの林の中をたどる急な坂道です。木の根に掴まりながら汗を流すと、前衛峰である1,992メートルの頂。目の前には御座山の山頂がそびえています。
一度下った鞍部がウダノ沢トーミと呼ばれるところ。右手からはウダノ沢沿いの登山道、左手からは御座林道からの登山道が合流しています。ここからは再びモミやツガの中の急坂を登り返します。やがて急坂も一段落すると山頂の一角。コメツガの林の中に真新しい非難小屋が建っていました。
山頂は南北に連なる狭い岩峰。切り立った岩場の上からは360度の展望を楽しむことができます。正面には長く連なる八ヶ岳の峰々。振り返ると金峰山や瑞牆山など奥秩父の山々。目の前に連なる峰々は数年前に登った天狗山の岩峰です。遠くには北アルプスの稜線や浅間山などが見えるはずですが、湧き上がる雲に阻まれその姿を見せてくれません。
山頂で出会った中年のハイカー2人、一人は名古屋の人です。昨日付近の山を登った後、今日この山に登って来たとか。名古屋から中央道を利用すると、この山域もあまり遠くないようです。
もう一人は地元佐久の人。この山にはよく登ってくると言います。最近この山域も鹿が増え、この数年はメス鹿も含めかなりの数を捕獲していると言います。鹿が増えているのは奥多摩や日光だけのことではないようです。しばらく雑談に花を咲かせていると、中年の夫婦連れが登ってきました。南相木村側から不動ノ滝を経て登ってきたと言います。不動ノ滝からはかなりきつい登りが続いているようです。
昼食の後、白岩の登山口に下って行くことにします。急な下りもなかなか疲れるもので、途中の展望台で一休み。振り返ると山頂は吹き上げる雲にその姿を隠していました。