八甲田山の山麓には湿原が広がる田茂范岳があります。八の字を書くようにゴードラインと言われえる木道が続き、山頂まではロープウェイが運行していることから、気楽な散策コースとしてたくさんの観光客で賑わうところです。
青森の市街から八甲田山を目指し緩やかにカーブを登っていきます。なだらかな広葉樹林の中をしばらく登ると、目指す八甲田山ロープウェイの大きな駐車場にたどり着きました。
ロープウェイは我々を標高1,324メートルの山頂公園に運んでくれました。付近一帯は田茂范岳の間に点在する湿原をめぐる公園になっており、遊歩道がひょうたんの形になっていることからゴードラインと呼ばれています。
強い風が吹き抜ける山頂駅を後に、ひとまず北岳に向かうことにします。視界は広く開けていますがあいにくの曇り空。眼下に広がるはずの津軽の平野は薄い霞みに溶け込んでいました。ここからはオオシラビソの林の中を按部に向かって下って行きます。普通は20メートルを越えるオオシラビソも、厳しい自然条件のためかわずかに人の背丈を越える程にしか成長していません。それでもその頭には青紫色の松傘を付けていました。
登り返した小高い頂が田茂范岳の南岳。ここからは赤倉岳、井戸岳、八甲田大岳と続く北八甲田の山並みを見渡すことが出来ます。何時の日にか、高田大岳へと続く縦走路に秋の一日を過ごして見たいものです。
田茂范岳からは木道を緩やかに下ってロープウェイの山頂駅に。目の前に広がる湿原には、キンコウカの黄色い花が風に揺れていました。