東の赤城山、西の妙義山とともに上毛三山として親しまれている榛名山は典型的な複式火山の山です。中央火口丘である榛名山は、榛名富士の別名を持つようにコニーデ型の端正な形をしている山です。この榛名富士を取り囲むように連なる氷室山、天目山、相馬山などの榛名外輪山の尾根上には、榛名富士や榛名湖、赤城山などの展望にも恵まれたコース縦走コースがあります。また榛名富士の山麓に一帯は、レンゲツツジやヤマツツジの群生地で、花のシーズンには付近一帯を真っ赤に染める群生が楽しめると言います。
上野駅から普通電車に乗って高崎へ。高崎の駅前からは榛名湖畔行きの群馬バスに乗りおよそ1時間15分。たどり着いた榛名湖はたくさんの観光客で賑わうところで、青い水をたたえる湖面には貸しボートや遊覧船が浮かんでいました。
登山口は湖畔のバス停からしばらく戻ったところにあります。細い登山道をしばらく登ると旧天神峠。ここからは掃部岳から続く榛名外輪山自然歩道の道を合わせ、丸木の階段が続く急な登りとなります。登山道は良く整備され、榛名湖や榛名外輪山の植物を説明する案内板が建っています。登り詰めたところが氷室山の小さな頂。前方には小高い天目山が見えています。木の間隠れの榛名湖を眺めながら登り返した小さな頂が天目山。標高はすでに1,300mを超えていました。天目山からはまた急な斜面を下ることになります。正面には榛名山と小さく頭を持ち上げた相馬山を眺めることができます。
広い防火帯の尾根道を下ったところが七曲峠です。ここには車道が横切っています。七曲峠からは緩やかな防火帯の尾根道を登り返します。広い草原をたどる道をしばらく登ったところが見晴らし台。ここから道を左にとり松之沢峠に向かい下って行きます。
たどり着いた松之沢峠にはまた車道が横切っていました。サイクリングの若者が気持ちよさそうに峠を下って行きます。峠を登りかえすと展望が開け正面にはこれから登る相馬山、その前に磨墨岩という20mほどの岩が姿を現わします。のびやかな尾根道をたどり磨墨岩を左に巻くと、目立たない磨墨峠です。峠からは稜線上の道を相馬山に向かい登り始めます。しばたく登ると小さな東屋が建っていました。ここからの眺めはなかなか素晴らしく、正面にすり鉢を伏せたような榛名山。ボートをたくさん浮かべた榛名湖とこれを取り囲む掃部岳、氷室山、天目山の外輪山。その上に遠く霞むのは浅間山でしょうか。その山頂からは白い噴煙がかすかに昇っていました。
東屋からは、潅木林の中を山頂に向かい登り始めます。しばらく登ると黒髪神社と書かれた赤い鳥居。ここからは登りも急になり、石段やクサリが現われます。しばらく登ると20mほどの鉄のハシゴ。やがて山頂に近付くと登りも緩くなり、やせた尾根道をひと登りすると相馬山の山頂です。
相馬山の山頂には黒髪神社の立派な神殿と石像が建っていました。山頂からは南側が大きく開け、目の前には妙義山のギザギザとそそり立つ岩峰。その向こうに霞むのは西上州、奥秩父の山並み、その中でひときわ目立つのが両神山です。眼下には高崎や前橋の市街が霞の中に広がっていました。
山頂からは森林公園を経て伊香保温泉に下る道がありますが今回は往路を戻り、ヤセオネ峠を経て榛名湖のバス停に戻ることとします。急な鉄ハシゴを下り赤い鳥居の分岐点からヤセオネ峠へと下って行きます。分岐点からは道も平坦になり、しばらくの下りでヤセオネ峠の広い車道に飛び出ました。ここからは暑い午後の日を浴びながら、舗装道路を榛名湖畔へと戻ることにします。
右手に榛名山を眺めながらしばらく進むと、火山灰地特有の痩せた草原にレンゲツツジの群落。おそらく先週が花の盛りであったのか、若干花は散りかけていますがオレンジ色の群生はなかなか見応えがあります。ここからは草原に付けられた小道をたどり、榛名湖畔へ向かいました。
湖畔はたくさんの観光客であふれんばかりです。若いカップル、小さな子供を連れた家族連れ。ほとんどがマイカーで来ているようです。車と人込みを抜け、湖畔の舗装道路をおよそ半周。しばらく歩くと朝出発した榛名湖畔のバス停です。