中沼登山口8:00-(1h50m)-つぶ沼コース分岐9:50-(0h25m)-銀明水10:15/30-(1h05m)-姥石平11:35/45-(0h35m)-焼石岳12:20/25-(1h10m)-姥石平13:35/50-(0h45m)-銀明水避難小屋・銀明水14:35/55-(1h15m)-中沼16:10/15-(0h30m)-中沼登山口16:45
花の百名山として知られる焼石岳はすでに活動を中止した古い火山です。壮麗期を迎えたなだらかな山には湖沼や湿原が発達し、遅くまで雪が残ることからたくさんの高山植物を楽しむことができます。
地元の登山情報を確認すると昨年の秋まで地震の災害復旧工事で通行が禁止されていた尿前林道はすでに雪も消え通行が可能と言います。このため中沼コースの登山口から山頂を目指すことにしました。
国道397号線から道を右に折れ砂防工事の車が出入りする尿前林道へ。ここから荒れた林道を登って行くと中沼登山口の広い駐車場にたどり着きました。人気の山ということもあり平日にもかかわらずすでに数台の車が停まっていました。
登山口からはブナの林の中を登る登山道が始まります。しばらく登った所が中沼。ベンチと標柱の立つ一帯は白いガスに包まれていました。
石沼への分岐は標柱が朽ち落ちています。ここは道を右に、木道をたどる湿原はミズバショウとリュウキンカの咲くところです。湿原を黄色に染め上げるリュウキンカの群生は尾瀬の湿原よりも見事でしょうか。
ここからは荒沢に沿った残雪の中の登りです。木道が敷かれた小さな湿原には咲き始めたばかりのミズバショウが白い花を付けていました。
目の前の視界が開けると雪解け水をたたえる上沼です。若葉色を映す水面の上には山肌に残雪を纏った獅子ヶ鼻岳から横岳の稜線がそびえています。目指す焼石岳の山頂は雪渓の稜線の先に隠れているようです。
上沼からは銀明水へと登って行く登山道には厚く残雪が残っています。木立に付けられた赤いテープが見つからないところもあり登山道を探すのにも一苦労です。沢沿いの道は雪解けが進み、小さなスノーブリッジとなっているところもあります。気を付けなければ雪渓を踏み抜いてしまいそうです。
緩やかな斜面に広がる雪渓を登って行くとつぶ沼コースから登ってくる道を合わせる分岐点です。かなり雪が厚くなる所なのか道標などの代わりに木立の先に中沼コース、つぶ沼コースと書かれた垂れ幕がかかっていました。
ここからひと登りで銀明水です。この広場に傍には赤い屋根の銀明水避難小屋がありました。
ここからは大きな雪渓を登って行くことになります。雪はかなり腐っているためアイゼンを付けるほどのこともありませんが、重たい雪の登りは結構疲れます。
赤い粉が撒かれた雪渓を緩やかに登って行きます。目印にと立てられた赤い旗も彼方此方に立っています。視界が期待できるときはそれほど問題になることも無いでしょうが、ガスのときにはそれなりの注意が必要になるところでしょう。
やがて雪解け水で川のようになった登山道を登って行くと姥石平にたどり着きました。木道が敷かれた一帯はハクサンイチゲやヒナザクラなどの花に覆われたお花畑です。
泉水沼から山頂直下の稜線を登って行きます。山頂が近付くと北からの強い風が吹き抜けていました。1等三角点のある山頂には標柱と小さなケルンがあるだけ、巻き上がるガスで視界は全く期待できません。しばらくすると風に乗って雨も降ってきました。
山頂からは焼石神社を回り姥石平へと戻ることにします。焼石岳の北側に広がる斜面は大きな岩が登山道を覆っています。まさに焼石岳が火山であったことを物語っているようです。大きな岩の間を下って行くと焼石神社の岩祠、小さな石碑などが祀られていました。小さく下ると道標が建つ分岐点です。左手に道は東成瀬へと向かう道、右手の道は東焼石岳を経て夏湯温泉へと向かう道です。
ここで道を右に、分岐の先には一面に雪渓が広がっていました。稜線に遮られ風は強くないものの巻き上がるガスで視界は良くありません。腐った雪の上ではふみ跡もなかなか見付けることは難しいところです。
東焼石岳へと向かう道は雪渓の斜面を左へと登って行くようです。焼石岳の斜面を巻くように雪渓を進むと笹の藪の中に姥石平への道が続いています。所々に雪渓が登山道を隠しGPSを頼りに姥石平へと向かいました。
広く開けた一帯はお花畑です。この時期、このお花畑を彩るのはハクサンイチゲ、それにヒナザクラやミヤマシオガマ、ミヤマキンバイなど、これから7月にかけ色とりどりの花が咲くと言います。
たどり着いた姥石平の道標近くで遅い昼食にしました。山頂付近で降っていた雨は先ほどまで上がっていましたが食事の最中、ふたたび細かい雨が降ってきました。
ここからは往路をたどり中沼登山口に戻ることにします。姥石平から長い雪渓を下り始めるころには鳥の声も聞こえ始め雨も上がってしまいました。
銀明水の避難小屋で一休みしたのち中沼への道を下って行きます。登りでも苦労した沢沿いの道は雪解けが進んでいるようで、雪渓を踏み抜きそうになりながらの下りでした。
中沼コースの登山道には春の花が咲いています。すでに大きな葉だけとなったミズバショウ、ズダヤクシュやサンカヨウ、コミヤマカタバミの花などを眺めながら緩やかな林の中を登って行きます。
中沼の湖面を彩るツツジはムラサキヤシオツツジ。本州中部から東北にかけて咲くツツジで、関東周辺で見られるミツバツツジに比べ花の色も濃いようです。
姥石平近くの斜面にはミネザクラがピンクの花を付けていました。ピンクの小さな花と赤身を帯びた葉、遠くから見てもなかなか綺麗なものです。
姥石平に咲くハクサンイチゲは花柄が短いエゾノハクサンイチゲ、花茎もまた長い毛に覆われアルプスなどで見かけるハクサンイチゲとは違っています。また木道に目を落とすとヒナザクラが白い花を付けていました。ヒナザクラは東北の山に多いサクラソウの仲間です。
姥石平にはミヤマシオガマも見付けることができます。高山の礫地に咲くシオガマで、葉は細かく裂けていること花の先端が鳥のくちばしのように尖っているのが特徴と言います。