千畳敷-(0h35m)-乗越浄土-(0h20m)-宝剣岳-(0h10m)-宝剣山荘-(0h30m)-頂上山荘(テント設営)-(0h15m)-木曽駒ヶ岳-(0h40m)-頂上山荘(テン泊)
歩行時間:2h30m、歩行距離:3.0km、累積標高差:+409m、-191m
頂上山荘-(0h15m)-中岳-(0h20m)-乗越浄土-(0h35m)-伊那前岳八合目-(1h05m)-小屋場-(0h55m)-うどんや峠-(0h25m)-清水平-(0h30m)-蛇腹沢登山口-(0h40m)-北御所登山口
歩行時間:4h45m、歩行距離:8.6km、累積標高差:+148m、-1610m
木曽駒ヶ岳は南アルプスの盟主としてそびえる花崗岩の山です。日本百名山にも選ばれる頂ですが千畳敷までロープウェイが運行していることから子供連れでも山頂に立てる軽いハイキングの山として人気があるところです。
駒ヶ根インターから一般道に降りると程なく菅の台の駐車場です。まだ7時を過ぎたばかりなのに広い駐車場にはたくさんの車が停まっています。バスの始発は7時、すでに山頂へと向かっている人も多いようです。
ロープウェイのしらび駅からは中御所谷を見下ろしながら標高差950mを一気に千畳敷へと登って行きます。眼下に広がるダケカンバの森はそろそろ紅葉が始まっているようでした。
千畳敷からは乗越浄土を目指し八丁坂の急坂を登って行きます。ロープウェイを利用すると中高年や子供連れでも簡単に山頂に立つことが出来ることから、軽いザックを背負ったハイカーが目立ちます。鹿島槍ヶ岳でもそうでしたがカラフルなタイツにスカートの山ガールも多いようです。
宝剣岳の岩場の前にザックをデポして山頂を目指します。ザラザラした花崗岩の岩場には鎖なども張られ初心者でも安心して山頂に立てるように整備されています。それでも山頂直下は谷に向かって切れ落ちているところもありました。
狭い宝剣岳の岩峰からは広い展望を得ることが出来ます。目の前に続く稜線の先には空木岳や南駒ヶ岳、山頂の岩塔の先には木曽駒ヶ岳、巻き上がる雲海の先には青黒いシルエットとなった南アルプスの稜線が続いていました。
宝剣山荘近くの岩の上で昼食ののち明るい稜線を中岳へ。小さな岩峰の山頂には錆びついた鉄剣と石祠が祀られています。宝剣山荘の傍にも大きな石碑がありましたがこの山は古い信仰の匂いが今も残っているところです。
中岳と木曽駒ヶ岳の鞍部に立つ頂上山荘。今夜の宿は山荘前のテン場です。中央アルプスの稜線上では唯一のテン場と言います。トイレの改修中ということで、小屋の前には機材などが置かれていました。まだ紅葉の時期には少し早いようで、テントの数も2組だけ。それでも夜までには4組のテントが張られていました。
テントを設営し木曽駒の山頂へ。1等三角点が置かれた広い山頂には木曽駒ヶ岳神社の祠が2つ祀られていました。
帰りは馬ノ背へと下って行く稜線をたどりテン場に戻りました。すでに3000mの稜線は秋の足音が近付いているようで、ハイマツの中にウラシマツツジが真っ赤に紅葉しています。チングルマの葉も赤く色付き始めていました。
真っ赤に染まった雲海の先に浮かぶ八ヶ岳や奥秩父の山並み。やはり山頂で朝を迎える者にのみ見ることを許される景色でしょう。宝剣山荘に泊ったのか、この時間から駒ヶ岳の山頂へと登って行く中高年の一団もいます。
夜露に濡れたテントを撤収。食材が少なくなったため軽くなったザックを背負い中岳に登り返します。良く晴れ渡った小さな岩塊の上からは駒ヶ岳の肩に奥穂高や槍の穂先、その左には御嶽山が浮かんでいました。
小さく下った乗越浄土で一休みした後、目の前に広がる千畳敷や宝剣岳を眺めながら伊那前岳への稜線を登って行きます。ここから眺める千畳敷は観光ポスターでもお馴染みのカットです。もう数週間もすると赤や黄色の紅葉に覆われた景色を見ることが出来るようです。
緩やかに登って行く稜線上の道は伊那前岳の岩峰を巻いて行きます。緩やかに下ったところが勒銘石、鎖で覆われた岩の上に碑文が掘られていると言いますが良く判りません。傍には天山坂本先生と彫られた石碑が建っていました。
伊那前岳の三角点峰は小さなコブの上です。薄いふみあとの頂には道標もなく、気を付けなければ見落としてしまいそうなところです。目の前には宝剣岳の岩峰、右手には木曽駒ヶ岳から長く続く馬ノ背。西駒山荘の建つ将棊頭山付近は、聖職の碑の舞台となった中学生遭難の悲劇があった所です。
8合目には般若心経の一節、五蘊皆空と刻まれた覚者与五蔵の石碑と赤い社が祀られています。山頂に駒ヶ岳神社、登山道には山岳宗教にまつわる石碑、まさにこの登山道は古い信仰の匂いを残しているところです。
大きな岩が転がる登山道はやがて樹林帯の中を下って行くようになります。広く開けたところは小屋場、右手には千畳敷へ下る道が分かれているようですがふみあとは薄いようです。
小屋場から少し下った所で学校登山の一団に出会いました。近くの伊那赤穂中学校の生徒およそ300人。白髪交じりの先生からまさに山ガールの若い先生まで、引率の先生も大変なようです。親から借りたのかサイズの合わないザックにスニーカー、なかにはそろそろバテ気味の子供もいました。
道端で昼食ののち、北御所登山口への道を下って行きます。シラビソの林の中を下って行く道はあまりきつい下りもなく、木の階段など登山道も良く整備されています。清水平を過ぎ、しばらく下っていくと蛇腹登山口と書かれた標柱が建つ林道にたどり着きました。ここから登山口のバス停までは砂利の敷かれた長い林道歩きです。