望岳台登山口-(2h00m)-深い枯れ沢-(0h30m)-ポンピ沢-(0h50m)-美瑛富士分岐-(0h40m)-美瑛岳の肩-(0h40m)-美瑛岳-(0h50m)-美瑛富士分岐-(0h40m)-ポンピ沢-(1h50m)-望岳台登山口
早朝の駐車場から山頂を目指すことにします。早いパーティは暗いうちに山頂を目指して出発していました。望岳台の石碑が立つ展望台から火山礫に覆われた登山道が緩やかに続いています。道端にはエゾリンドウやシラタマノキの白い実など、山の季節はすでに秋の気配が近付いているようです。岩陰にはエゾシモツケの白い花が咲き残っていました。
白い噴煙を上げる十勝岳を見上げながら広い登山道を登って行きます。やがて目の前に避難小屋の建物が大きくなってくると美瑛岳の分岐点です。ここで道を左に、枯れた沢を渡ると昭和火口の山麓を回り込むように火山礫の斜面を登って行きます。
ミヤマアキノキリンソウなどの咲く明るい斜面は雲ノ平と呼ばれるところでハイマツの中にコケモモやイワギキョウ、タルマエソウなどが咲いています。回り込むように登っていく道はポンピ沢手前の枯れ沢に向かって緩やかに下っていきます。まだ厚い雪渓の残る沢は深く土削られたところでこのコースの難所の一つです。5~6mほどある沢の壁には鎖や固定ロープも張られています。
先行していた大きなリュックザックを背負った男女のパーティは何処かの大学生のようで、これから7泊をかけ大雪山を縦走すると言います。7泊、20食分の食料はかなり大荷物のようで、岩壁を登るのにも苦労をしていました。
ここから緩やかに下っていくとポンピ沢です。飛び石を頼りに沢を渡渉するところで増水しているときは渡るのも大変そうです。
ポンピ沢を越えると美瑛富士の分岐に向かって急な登りが始まります。岩角、ハイマツの根などにつかまりながら高度を上げて行きます。やがて勾配も緩やかになってくると美瑛富士への分岐点にたどり着きました。
分岐点で一休みしたのち、砂礫まじりの急な登りに汗を流します。この斜面はイワギキョウやウサギギクの咲くお花畑ですがすでに夏の花の盛りは過ぎているようです。
たどり着いた大きな岩は山頂の肩で、目の前には巻き上がる雲の下に十勝岳、荒々しく広がる火山礫の岩壁は美瑛岳の爆裂火口です。
火口壁の渕を巻くように登って行くと美瑛岳の山頂です。三角点の立つ山頂は深く切れ落ちる火口壁の上で、その渕を十勝岳へと続く縦走路が続いていました。巻き上がる夏雲の下には十勝岳、しばらくすると雲も切れ、振りかえる視界の先に美瑛富士の円錐形の頂、その山裾を回り込むように大雪山へ向かう縦走をが続いていました。
美瑛岳が噴火したのは1万年ほど前のことです。その後、十勝岳の噴火が繰り返され約3千年前にはグランド火口で大規模な噴火が発生、以降も安政や大正に大規模な噴火の歴史が残っています。目に前に広がる荒々しい景色はその歴史を今に語る伝えるところです。
山頂で昼食をしたのち、車を停めた望岳台に戻ることにします。雲ノ平付近から振り返ると巻き上がる雲の中に美瑛岳の山頂が見え隠れしていました。
美瑛岳は歩行距離もあることから、登山口の望岳台にたどり着くころは足も疲れていました。振りかえると昭和火口付近から下ってくるパーティが米粒のように見えていました。
すでに北海道の山には秋の気配が漂っています。登山道にはエゾリンドウの紫色の花やミヤマアキノキリンソウが咲き始めています。シラタマノキの真っ白い実、コケモモも赤い実を付けていました。道端に目を落とすとミヤマリンドウの紫色の花も見付けることができます。
登山道にはまだ夏の山を彩る山も咲いていました。雲ノ平からポンピ沢に向かう砂礫の登山道や美瑛富士分岐から山頂へと向かう砂礫の登山道は高山植物の咲くお花畑になっています。北海道の山でお馴染のタルマエソウやイワギキョウの可憐な花、ウサギギクなども見つけることができました。