今年の夏休みは東京の山に登ろうと思っていましたが、雨にたたられ何処の山にも登れませんでした。東京からの帰り道、何処かの山に登ろうかと迷いながらたどり着いたのは上ホロカメットク山。十勝岳連峰の南端に位置するこの山は、安政火口の大きな火口壁の上にそびえ立ち、迫力のある景色を作り出している山です。
十勝岳温泉の駐車場からは遊歩道をたどり安政火口の分岐点へ。ここからD尾根といわれる明るい尾根道を上ホロ分岐点に向かって登って行きます。露岩が混じる登山道にはイソツツジの花が咲いています。小さな沢を越えると上ホロ分岐点。道端の岩に腰をおろし小休止です。
上ホロ分岐点からはD尾根の頂に向かい、急な坂道に汗を流すことになります。ハイマツの中にジグザグに階段が続くなかなか疲れる登りです。一歩ごとに高度を上げてゆくと明るく開けたD尾根の上にたどり着きました。振り返ると広々とした富良野田園地帯。目の前には火山灰の層が面白い模様になった三段山。赤茶けた火口壁は安政火口に向かい垂直に切れ落ちています。稜線の岩陰に腰を下ろし昼食としました。
昼食の後、稜線上の道を上富良野岳を目指して登って行きます。この付近は高山植物に覆われた心地の良い稜線で、すんだ紫色のイワギキョウやイワブクロ。チングルマの白い穂綿が風にゆれています。ゴツゴツとした八ツ手岩の稜線から露岩帯のひと登りすると、上富良野岳の山頂にたどり着きました。右手は三峰山を超えて富良野岳へと続く道、左手は上ホロカメットク山を経て十勝岳へと続く道です。目の前には赤茶けた安政火口の火口壁。今登ってきた尾根道が、緑色のハイマツの中に続いています。
上富良野岳で小休止の後、目の前にそびえる上ホロカメットク山の山頂へ向かうこととします。上富良野岳から一度鞍部に下り小さく登り返すと目指す上ホロカメットク山の山頂です。下から眺めると急な岩峰上の頂のように見える山頂も、十勝方面はなだらかな斜面が広がっているだけです。眼下には大きく口を開ける安政火口。右手には雲に隠れながら噴煙を上げる十勝岳。なかなかすばらしい眺めです。
山頂で小休止した後、駐車場を目指して往路を下って行きます。息を切らせながら登った急坂も下りになれば足も軽いもの、ほどなく車を停めた駐車場にたどり着きました。
帰りには駐車場脇の十勝岳温泉で汗を流すことにします。赤褐色の温泉は鉄分を多く含んでいるのでしょうか。この湯船の中にある大きな岩は、この温泉ができる前からあった岩とか。少し温めの露天風呂から眺める十勝の山々の眺めもまた格別です。