御在所山は鈴鹿山脈を代表する山です。最高峰は御池岳に譲るとしても、山腹に大黒岩や負れ岩、地蔵岩などの奇岩怪石をめぐらせた岩峰で、藤内壁と言われる切り立った岩壁は関西でのロッククライミングのゲレンデとして知られているところとです。また山頂まではロープウェイが通じていることから、小さな子どもやお年寄り、観光客なども簡単にその山頂に立つことができる山でもあります。
御在所山の登山道には数年前に登った裏道のほか表道、中道、一の谷新道のほか武平峠ルートなどがあるようですが、昨年9月の豪雨により、御在所スカイラインは土砂崩れなどで通行止め、裏道や武平峠ルートは落石などにより利用できなくなっているようでした。
旅館が点在する湯の山温泉狭い道を登って行くとロープウェイの湯の山駅にたどり着きました。ここから山上公園駅まではロープウェイでおよそ10分、途中にそそり立つ大鉄塔は高さ61m。御在所山のシンボルとして観光ポスターなどでも紹介されているところで、建設当時は世界一の高さを誇っていたと言います。
たどり着いた山上公園駅からは御在所山の山頂へ向かいます。冬はスキー場となる山頂一帯は観光地化されたところで、山上駅から御在所山の山頂まではリフトも運行され、これを利用すると歩かずに山頂を踏めるようです。
山上レストランから緩やかに車道を登って行くと御在所山の直下。階段をひと登りすると1等三角点の大きな標柱が建つ山頂にたどり着きました。ここから左手に進んだ大きな岩塊の上が望湖台です。視界が良ければ目の前に琵琶湖が眺められると言いますが、気温が上がっているのか白く濁った霞みの中にその姿をかくしていました。
山上公園の売店で聞いた話では一の谷新道はかなりの急坂で中道のほうが下りやすいとか。ひとまずロープウェイの山上公園駅近くまで戻り、そこから中道を下って行くことにしました。
中道入口から右手に登ったところが朝陽台と言われる展望台です。展望台に立つと伊勢湾が丸い弧となって広がっています。伊勢湾の左手には名古屋の町並み、右手には紀州の山なども霞んでいるようですが見慣れない展望では何処がどの山なのかを見定めることは難しいものです。
朝陽台の先には御在所山の奇岩怪石を見下ろすことのできる富士見台があります。目の前をロープウェイのゴンドラが山頂を目指し登っています。ひときわ大きくそびえる岩は大黒岩とか。一の谷新道が傍を通っているようで、そそり立つテラスの上には登山者の小さな影が見え隠れしていました。
富士見台という名前が付いているように空気が澄んでいればここから富士山が見えるようです。富士山までは直線距離で210km、冬など晴れた朝などという条件があるのでしょうが、富士山の遠望に出会うことは難しいものがありそうです。
中道入口から登山口を目指して下ることにします。最初は樹林帯の中の急な坂道を下って行きます。しばらく下ると山頂直下の岩壁の下を巻く岩場にたどり着きました。鎖を頼りに岩場を巻いたところが7合目。小広い岩の上に立つと目の前には裏道の荒れた沢、その先には国見尾根が迫っていました。
ここからは林の中の急な坂道が続いています。この岩山は花崗岩から成り立っているようで、登山道は風化した花崗岩の砂粒で滑りやすくなっています。木の階段や溝のように削られた坂道を下って行くとキレットと呼ばれる岩場です。15mほどの岩場は右手が切れ落ち、鎖が張られていますが小さなスリルを楽しむことのできるところです。小さな女の子を連れた親子連れがキレットを下っていました。山頂まではまだ1時間ほどかかるでしょう。最終のロープウェイが気になりそうな時間です。
キレットを越えると白い砂と緑の松のに彩られた心地よい坂道が続きます。しばらく下ったところが地蔵岩。ガイドブックなどにも紹介されている大きな岩が微妙なバランスを取りながらそびえています。さらく下ると負れ石(おばれいし)です。2枚の岩が負われるように重なっていました。
たどり着いた中道の案内板からは舗装道路です。しばらく下って行くと湯の山温泉の旅館街にたどり着きました。車を停めたロープウェイの駅は川を渡った坂の上です。