1,000メートルに満たない丘陵の続く大阪の近郊にあって、金剛山から葛城山にかけての山域は、数少ないハイキングの山として何時もたくさんのハイカーを集めていると言います。また金剛山は、南北朝時代の名将、楠木正成が鎌倉幕府の大軍と激戦を繰り広げた千早城の山として、数多くの歴史を秘めた山です。
都市近郊のハイキングコースと言うこともあって、登山道は千早城址から千早道を登るコース、念仏坂を登るコースなど多くのコースが開かれています。今回は金剛山ロープウェイを利用し、山頂を周遊する軽いハイキングです。
金剛山ロープウェイの千早駅に車を停め、観光客と一緒にロープウェイの金剛山駅へ。たどり着いた山頂駅からは、霞んだ夏空の下に近畿の山並みが広がっています。やはり初めての山域だけあって、どこがどの山か、どこがどの町かを見定めることはなかなか難しいものです。
山頂駅からはよく整備された遊歩道が大阪府最高点の稜線へ向かって伸びています。明るい広葉樹の林の中には、朱色の花弁が目立つフシグロセンノウが咲いていました。稜線から暗い杉林の中をひと登りすると葛木神社にたどり着きます。関西では珍しい朱塗りの大社造りの神殿で、古事記、日本書記に出てくる「良きことも悪しきこともただ一言願えばかなう神」一言主を祭る社と言います。
ここから暗い杉林の中を小さく下って行くと、真言密教の霊場として信仰を集める転法輪寺です。金剛山は転法輪寺の山号がそのまま山の名前になったものとか。広い境内はたくさんの人であふれています。小さな茶店の裏手は広く開けた広場になっており、千早城址から登山道を登ってきたハイカーがピクニックシートを広げていました。この広場からは北側の展望が開け、霞む夏空の向こうに大阪の町並みが広がっていました。
茶店で案内していましたが、金剛山練成会などを中心として金剛山の回数登山が行われていると言います。大きな看板に回数登山者の名前が掲示されています。最も多くこの山に登った人は1万回を超えるとか。この山がよほど好きなのでしょうか。毎日登っても30年近くかかるようです。
ここからは、明るい雑木林の中の登山道をロープウェイの山頂駅へと下って行きます。山頂駅から転法輪寺を目指したくさんのハイカーが登ってきました。