日立周辺はイワウチワの咲く山が多いところで、高鈴山などがその代表としてガイドブックに紹介されています。山の会の人が聞いた話では、矢祭りの滝川渓谷にはあまり紹介されていないもののイワウチワの群生地があると言います。今回は春の花を探しにこの渓谷を訪ねることにしました。
大垬(オオヌカリ)の駐車場に車を停め、渓谷に沿った杉林の中を緩やかに登り始めます。遊歩道のような道は良く整備されていて、歩きやすい渓谷です。
しばらく登ると滝川神社の小さな社がありました。ここからは流れに沿った道を登っていきます。最初に現れたのは白い飛沫を上げるおぼろ滝、ここからは小さな滝を眺めながらの渓谷の道が続いています。所々にはエイザンスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレなどが咲いていました。
五丁目付近の流れの傍にはカタクリの群生地がありました。まだ若葉も出始めていない渓谷に、ピンクの群生が春の始まりを教えているようです。
白い飛沫をあげる銚子の口滝を超えると登山道は緩やかになり、流れも緩やかになってきます。やがて左手に小さな湿原が広がる10丁目にたどり着きました。あまり広くない湿原には白いミズバショウや黄色いリュウキンカ。しかしその近くには梅と菜の花が咲き、高層湿原と里山が同居しているようです。
近くには林道が登ってきているようで、滝川の里というお店やさんが店を開いていました。メニューは十割蕎麦、うどん、天ぷらなど。さっそく十割蕎麦を註文しましたがなかなかの美味です。
10丁目からは駐車場に向かった下って行きます。7丁目近くの沢で道を折れ、赤松林の中の踏み跡を登っていきます。しばらく登ると踏み跡は稜線にたどり着きました。この道は1/25000地形図にも、滝川渓谷の案内図などにも記載されていない道です。
この付近一帯がイワウチワの群生地で、北斜面一面に淡いピンクのイワウチワが咲いていました。
ここからは林道のような道を下って行きます。しばらく下ると車を停めた駐車場にたどり着きました。
滝川渓谷は春の花に彩られています。この時期目立つ花はスミレ、タチツボスミレのほかにもエイザンスミレなどが咲いています。また渓谷沿いにはカタクリの群生地もありました。
この渓谷沿いの稜線にはイワウチワの大きな群生があります。中央線沿線の坪山や日立の高鈴山などもイワウチワが群生する山として知られていますが、ここには比べ物にならないほどの大きな群生が広がっています。この山が個人の所有ということもあって、矢祭りのガイドブックなどでもあまり紹介されていないことが、このような大きな群生地を残していた理由なのかもしれません。