三ツ峠山は河口湖をはさんで富士山に対峙することから、富士山の好展望台として有名な山です。我々も大きくそびえる富士山を期待して、2度ほどこの山を訪れたことがあります。しかしまだ山頂からの富士山には対面できないままになっていました。また山頂直下の屏風岩はロッククライミングのゲレンデとしても有名で、休日ともなるとたくさんの若者がクライミングを楽しんでいます。
人気の山だけあって登山道も幾つか開かれています。富士急行の三ツ峠駅から達磨石、八十八大師を経て山頂に至る表口コース、中央線の笹子駅から清八峠、御巣鷹山を経て山頂を目指すコース、ロープウェイの天上山から霜山、木無山経て山頂を目指すコースなど・・。今回は比較的簡単に山頂に立てるという北口登山口から山頂を目指すことにしました。
北口登山道は山頂に建つテレビ中継アンテナの建設のために作られた道でしょうか。雑木林の中を緩やかに登る山道は所々に舗装の跡も残っています。朝日を浴びる山肌は黄色く色付いた唐松の林に覆われ、もうこの山は秋の真っ最中であることを物語っています。幾度か緩やかにカーブを繰り返しながら高度を上げていくと、明るく開けた稜線にたどり着きました。やがて右手に三ツ峠山荘への道を分けると、四季楽園の前にたどり着きます。
ここからは赤土の斜面を山頂へと向かう急坂が始まります。急な坂道をひと登りすると広く開けた三ツ峠山の山頂です。目の前には広い裾野を広げる富士山。幾度かテレビの中継で見たことはありますが、目の前にすっきりとそびえるその姿は見るものを飽きさせない眺めです。右手には長い稜線を連ねる御坂山塊。さらに遠くに霞むのは南アルプスや奥秩父の峰々です。多少、木立に邪魔されていますが、御正体山から丹沢にかけての山並みも広がっています。
山頂で展望を楽しんだ後、御巣鷹山から大幡八丁峠を経て登山口に戻ることにします。山頂のテレビ中継アンテナの脇に続く道を下って行くと広く開けた鞍部。ここから小さく登り返した頂が御巣鷹山です。ここにも大きなアンテナを頭に載せたテレビ中継所が建っていました。
御巣鷹山からは雑木林の中の急な坂道を下って行きます。ブナやカエデはすでに黄色や赤に彩られ、この付近一帯はまさに秋の真っ最中です。もう半月もすると霜が降る季節がやってくるのでしょう。
降り立った鞍部からは、幾つかのコブを越える尾根道が続いています。地図の上では茶臼山、大幡山などの名前があるものの、特に目立った山頂ではありません。大幡山の山頂から小さく下り登り返した所が大幡八丁峠。ここから登山口へは林道をたどり40分ほどの道程でした。
たどり着いた登山口には、たくさんの家族連れが下ってきていました。この北口登山口を利用すると山頂までは1時間半程度。家族連れで紅葉を満喫するハイキングにはちょうど良い距離のようです。
御巣鷹山に向かう小さな鞍部はアヤメやコバイケイソウ、ヤマオダマキなどに彩られるお花畑と言います。しかし今は枯れた茎が風に揺れているだけです。御巣鷹山の周辺にはたくさんのトリカブトが紫色の花を付けていました。ここはまさに秋本番と言ったところです。