後志羊蹄山と対峙する急峻な独立峰である尻別岳は、その裾野に広がるルスツ遊園地の山と言ったほうが判りやすいかもしれません。登山コースの少ない北海道の山としては、喜茂別コースと、留寿都コースの2つの登山道が整備されています。今回利用する喜茂別コースは、後志羊蹄山を背にしながら高度を上げていくコースで、山頂付近からは大きな後志羊蹄山を眺めることのできる登山道です。
目指す尻別岳登山口の標識は、喜茂別の町を越えた所にあります。ここで道を左に。未舗装の畑の中に続く道を進むと、白樺の明るい雑木林の中を緩やかに登る道になります。ダートな道は轍が深く刻まれ、車高の低い乗用車では走りにくい道です。やがて送電線を越えると四合目。小さな駐車場にはすでに数台の車が停まっていました。
暗い雑木林の中を登山道は山頂を目指して登って行きます。しばらく登ると五合目。おりからの曇り空、気温もかなり上がっているのでしょう。すぐに額からは汗が噴出してしまいます。
六合目の道端で小休止の後、再びダケカンバの中の登山道を山頂へ向かって登って行きます。山が低いためか、それほど種類は多くはないものの、夏山を彩る花が目を楽しませてくれます。白い花を付けたマイズルソウは何処の山にもある花。すでに時期は過ぎていましたがエンレイソウもまだ白い花を付けています。やがて左手が広く開けてくると八合目です。この道端で再び小休止としました。
小休止の後、再び急な登りに汗を流すこととします。尾根も細くなってきたのか、ダケカンバの雑木林も疎らになってきます。何時の間にかガスも晴れ始め、木の間より後志羊蹄山がかすんだ姿を見せてくれました。九合目を過ぎると目の前に大きな岩が立ちはだかります。登山道は岩の基部を回り込むようにして山頂へと登って行きます。笹の中の道を緩やかに登りつめると、目指す尻別岳の山頂です。
広く開けた草原の山頂には、すでに2組のパーティがピクニックシートを広げていました。まだ時計は11時前ですが、晴れ渡った夏の日を浴びながら昼食としました。ここからの展望もなかなかすばらしいものがあります。霞んではいるものの、真っ白な雲海の上にそびえたつ後志羊蹄山。右手には霞みの中に溶け込みそうな無意根山から余市岳へと続く稜線。振り返ると昆布岳の特長のある山頂も霞みの中に見えていました。