ニセコアンヌプリはニセコ連峰の東端に位置する最高峰です。山麓には大規模なスキー場が開発され、スキーの山という印象を否めない山です。
この山を最初に訪ねたのは社会人となった頃のこと、山麓のニセコ野営場でキャンプをした後、山頂を目指した記憶が残っています。
すでにたくさんの車で溢れている駐車場に車を停め、リュックザックを肩に登山口を目指すことにします。時計はすでに11時になろうとしています。もう、登頂を終え下ってきている人も多いようです。ダケカンバの林の中をしばらく登ると登山道は稜線に飛び出しました。しかしあたりは雲に覆われ、これから登るニセコアンヌプリの山頂はもちろん、目の前に見えるはずのイワオヌプリもその姿を見せてくれません。稜線をたどる登山道はそれほど急ではないものの、折からのむし暑さのためか、あまりペースが上りません。広く開けた稜線上の道端に腰を下ろし一休みしました。
小休止の後、再び緩やかな尾根道を山頂へと登っていきます。この山は標高が低いにもかかわらず、高山植物に恵まれているようで、道端にはイワオトギリやミヤマホツツジ、ゴゼンタチバナ、マイズルソウなどが花を付けています。
しばらく緩やかな登りに汗を流すと、登山道は露岩帯の中をジグザグに登って行くようになります。登山道を彩る花も、マルバシモツケやイソツツジ、コケモモなど高山帯の花に変わってきます。急な斜面を登りつめると双耳峰になっている山頂の一角。付近にはエゾカンゾウの黄色い花が風に揺れていました。
たどり着いた山頂は広く開け、小さな非難小屋が建っています。正面に見えるはずの羊蹄山は雲に包まれ、その姿も見せてくれません。目の前の斜面には、スキー場のリフトが白い霧の中に霞んでいました。
ニセコのスキー場は南斜面を中心に広がっています。ニセコ比羅夫やニセコ国際、ニセコ藻岩などのコースがありますが、ゴンドラは1,000メートル付近の台地まで。それから上はリフトが山頂の直下まで伸びています。冬にスキーに来たとき眺めた山頂は、リフトの終点からかなりあるように感じていましたが、今ここから眺めると目の前といった距離です。
山頂で昼食をした後、往路を登山口へと下って行きます。あい変わらず雲は低くたれこめ、展望はまったく利かない山行となってしまいました。