ニセコを中心とする山並みの北西には、目国内岳や雷電山のなだらかな山があります。いずれも1,200メートル前後の山ですが、目の前に日本海が広がることから広い展望を楽しむことが出来る山です。また冬の季節風による多量の雪により、遅くまで残雪を残すことから、高山植物も比較的多いと言います。
札幌から国道230号線、国道276号線で倶知安へ。ここからは五色温泉へと向かう道道を登って行きます。雪のため閉鎖されていたこの道も6月から開通したようで、道の両脇には山菜を取りに山に入ろうとする人々の車が停まっています。
やがて左手にコイワヌプリのお花畑。ニセコは今日が山開きのようで、五色温泉には紅白の幕が張られていました。五色温泉からチセヌプリとニトヌプリの山間を縫うようにして登って行くと神仙沼の駐車場にたどり着きます。先々週は雪に閉ざされていた神仙沼への遊歩道にも、そろそろハイカーが訪れているようです。やがて蘭越へと続く山道をしばらく登って行くと新見峠です。目指す登山口は峠の駐車場の側にありました。
駐車場はほぼ一杯。山菜を取りに入山している車もあるのでしょうが、かなりの人がこの山に入っているのは間違いないようです。
登山道はダケカンバと熊笹に覆われた明るい林の中を登って行きます。登山口付近にはたくさんのカタクリがピンクの花を付け、この山は今が春の盛りであるということを教えています。しばらく登ると登山道に雪渓が現れました。額から汗が噴出し始めるころ前目国内岳の小さな頂にたどり着きます。目の前には山肌に大きな雪渓を残した、目国内岳がそびえていました。
前目国内岳から下っていく登山道には、斜面をピンクに染めるようにシラネアオイが群生しています。たどり着いた鞍部にはフギレオオバキスミレという黄色いスミレが群生していました。しばらく登ると露岩帯にさしかかります。右手の斜面は潅木に覆われているものの、かなり深く切れ落ちています。ここからは再び明るい熊笹の斜面を山頂へ。大きな雪渓を登りつめると山頂直下の岩場にたどり着きます。
岩塊の間を登って行くと大きな岩の上の山頂です。ここからは広い展望が目を楽しませてくれます。正面にはなだらかな尾根の先に小さく頭をもたげる雷電山。その右手に広がる町は岩内の町です。日本海に突き出す積丹半島の上に続く雪を被った稜線は余別岳や積丹岳でしょうか。振り返ると前目国内岳の向こうに白樺岳やチセヌプリ、さらにはコイワヌプリ、ニセコアンヌプリなどの山々が連なっています。ひときは高くそびえているのは後志羊蹄山。ここから眺めるニセコの山々は直線状に整列し、一味変わった眺めです。山頂での展望を楽しんだ後、岩場の下の小広い空き地に腰を下ろし昼食としました。
山頂直下の雪渓では数十人の若者が春スキーを楽しんでいます。雪質は期待できるものではないものの雪渓の大きさは十分。しかし当然リフトなどはあるはずもありません。一度、滑り降りたら後は登り返すのが大変なようです。
帰路は、新見峠を目指して下って行くことにします。登る時にはかなり疲れた雪渓も、下りでは登山靴を滑らせながら下って行きます。なかなか楽しいものです。
たどり着いた鞍部から小さく登り返すと前目国内岳です。振り返ると目国内岳の大きな雪渓が、春の日の下に白く光っていました。
目国内岳も春の花に彩られた山です。登山口の側にはカタクリが、前目国内岳の山頂付近には見事なまでシラネアオイが群生しています。目国内岳への鞍部に咲いていた黄色のスミレはフギレオオバキスミレとか。この山と道南の幾つかの山で見られる花と言います。
目国内岳の稜線上の露岩帯に咲いていたツツジはエゾムラサキツツジでしょうか。たくさんの種類があるツツジですが、変種も多く名前を見分けるのはなかなか難しそうです。