毛無山登山口9:05~毛無山地蔵峠分岐9:20~はさみ石9:35~不動ノ滝展望台9:50/55~1320m付近10:40/45~レスキューポイント10:50~1825m付近12:30/40~富士山展望台12:43~稜線分岐(昼食)12:55/13:30~北アルプス展望台13:25~毛無山山頂13:40~稜線分岐13:50~第二地蔵峠14:40~第一地蔵峠14:50/15:00~1320m付近金鉱石の焼き窯15:35~1290m付近15:40/50~1136m付近岩場のトラバース16:20~比丘尼ノ滝16:45~毛無山地蔵峠分岐17:05~毛無山登山口17:15
日本二百名山、山梨百名山に数えられる毛無山は天子山塊の頂で、朝霧高原を挟んで大きな富士山の展望を楽しめるところとして知られています。天子山塊の最高点は近くの大見岳に譲るものの山頂には一等三角点が置かれています。
地蔵峠の先には金山の地名があるように江戸時代までは富士金山として、今川、武田、徳川の三代に渡って金の採掘が行われていました。このため樹木の伐採がされ禿山になったことが山名由来になったとされています。
登山口の麓には大きな有料駐車場があります。ここに車を停め山頂を目指すことにしました。
登山口の先には麓宮があります。その先には富士金山精錬所跡や赤茶けた金鉱石の粉砕機が残っていました。当時の金鉱山では採掘された金鉱石を焼き窯で焼いたのち搗き石や石臼で粉砕、粉化された鉱石は水を使って比重選鉱を行い金と 鉱石の滓とに汰り分けたと伝えられています。
金の精錬を飛躍的に高めた灰吹き法が日本に伝わったのは戦国時代とされ石見銀山などで銀の精錬に実用化されました。しかし富士銀山で実際に灰吹き法が行われたかの確証はないようです。
毛無山の登山コースには毛無山コースと地蔵峠コースがあります。荒れた沢を渡ると毛無山コースと地蔵峠コースの分岐がありました。
現地の案内板に従い毛無山コースを登って行くとはさみ石の岩場、岩っぽい急坂をさらに登って行くと不動滝の展望台にたどり着きました。
小さな岩の上に立つと目の前に白い水しぶきを上げて落ちる不動滝、落差60mほどと言いますがなかなか迫力があるものです。
さらに急な登山道を登って行くと木立の中の広場、レスキューポイントです。ヘリコプターでのピックアップもできるところのようで案内板にはcall119と書かれていました。
その先は五合目です。道標にはマツダランプの宣伝が、かつて東芝が販売していた白熱電球の商標で1962年には東芝ランプと変わったのですからかなり古い道標のようです。
六合目を越えても急な登りが続きます。登山道沿いには真っ赤なヤマツツジが咲いています。山頂から下って来た人の話では山頂近くには色々なツツジも咲いていると言っていました。
流れ落ちを汗を拭きながら急坂を登ると七合目です。大きな岩を巻くようにして登って行く登山道は小さな岩場を越えながら富士山展望台にたどり着きました。晴れていれば大きな富士山を見ることが出来るようですが辺りは真っ白なガスの中でした。
さらに岩っぽい登りに汗を流すと九合目です。やがて登りも緩やかになってくると稜線の分岐にたどり着きました。道標が建つ広場は木立に覆われ展望は期待できそうにありません。それでも木立の先に大きな富士山か見え隠れしていました。
ここからは緩やかな稜線を毛無山へと向かうことにします。分岐の先の大きな岩は北アルプス展望台です。岩の上に立つと北アルプスの山々を見ることが出来るところですがここもまた白いガスの中でした。
コメツガの林の中を僅かに登ると一等三角点が置かれた毛無山の山頂です。東側の視界が開けた山頂からは大きな富士山が、しかし暫くすると白いガスの中にその姿を隠してしまいました。
ここから大見岳、タカデッキ、雨ヶ岳へと続く縦走路があります。山頂の案内板には藪が深いので縦走するときは経験者が同行することと書かれていました。
九合目近くで出会った男性は自称この山の管理人、40年近くこの山に登っているようです。登山道も整備しているので地蔵峠コースを回って行くのもお勧めと言いていました。
予定では毛無山コースの往復でしたが稜線の分岐に戻り地蔵峠コースを下ることにします。分岐の案内板には雨の後は沢が増水することもあり注意が必要と書いていましたが今日は大丈夫のようです。
明るい尾根道はマルバダケブキの咲くところです。緩やかに下って行く心地良い下りは気が付かぬままに丸山を通り過ぎます。途中には富士山の眺めが良いところもあるようですが真っ白いガスの中です。
地蔵峠の案内板があるところも富士山の展望が期待できるところですがここもガスの中です。ここは第二地蔵峠と呼ばれ中山金山への道が分かれています。案内板などによると最盛期には中山千軒と呼ばれ坑道遺構のほか金山神社や女郎屋敷などもあった言います。
さらに下ると第一地蔵峠です。小さな双体地蔵が祀られた峠です。ここからは麓に向けての急な下りが始まります。ますます深くなるガスに包まれた登山道はガラガラと歩き難い石に覆われています。途中には固定ロープが張られた岩場などもありました。
しばらく下ると登山道わきに金鉱石の焼き窯跡があります。ここで鉱石を焼いたのち搗き石や石臼で粉砕したのでしょう。炭焼き窯と見間違いそうな小さな石積みの釜でした。
やがて登山道は金山沢に沿って下ることになります。小さな流れの渡渉を繰り返しながら沢を下って行きます。途中には固定ロープが張られた3mほどの岩場、崩壊が進んだ岩をトラバースするところもありました。雨などで増水したときは渡渉が難しそうなところもありました。
岩場をトラバースしたのち高巻いた登山道を下って行くと比丘尼の滝です。落差20~30mほどの滝ですが三段になって落ちる滝はなかなか迫力があります。
さらに登山道は渡渉を繰り返し左岸へ、堰堤が現れると毛無山コースとの分岐にたどり着きました。荒れた沢を越えると車を停めた駐車場は目の前でした。
以前にも登ろうと計画していましたが足を踏み込めずにいた毛無山、歩程は必ずしも長くないものの急な登りが続く山として知られているところです。地元ではここを登れば北アルプスも登ることが出来るとか、トレーニングにはうってつけの山と言いますがなかなか登り応えのある山でした。