十勝平野を一望する扇ヶ原展望台、ここから然別湖へと向かう峠の傍に東ヌプカウシヌプリと西ヌプカウシヌプリの二つの頂きが頭を持ち上げています。ヌプカウシヌプリはアイヌ語で「野の上にいる山」という意味があるとか、十勝平野の外れに頭を持ち上げる様はなるほどと頷くことができそうです。
またこの山は氷河期の生き残りと言うナキウサギの住む山としても知られています。山肌に広がるゴロゴロとした岩の間には遅くまで雪が残っていることから、寒冷な気候を好むナキウサギの生活環境に適しているためと言われています。
雄大な牧場や畑が広がる中を然別湖へ向かうと扇ヶ原の展望台です。晴れていれば十勝平野を一望できる展望台も、巻きあげる雲に包まれ展望は期待できません。展望台から少し登ったところが東ヌプカウシヌプリの登山口である白樺峠です。
白樺峠の周辺は短い北海道の夏を彩る花が咲き乱れるお花畑です。チシマフウロウ、ハクサンシャジンなど交じって秋の花であるオミナエシも黄色の花を付けています。早い北海道の秋はすぐ目の前にやってきているようです。
ジグザグに高度をあげハイマツが目に付くようになると稜線の一角にたどり着きました。ここからは傾斜も緩やかになり、明るいシラカバの林の中を緩やかに登って行く道が続きます。しかし木立にさえぎられ展望は望めません。
登山道の脇にはハクサンシャジンのほか真っ赤な実を付けたチシマヒョウタンボクを見つけることができます。枝先に咲いた2つの花がくっ付きヒョウタンのように見えることから名付けられたと言います。
たどり着いた山頂はシラカバ林に囲まれた小さな広場と言ったところで、山頂を示す道標の脇に2等三角点が立っていました。
山頂から南東側に下って行く踏み跡の先は高茎草原のお花畑となっています。晴れていれば十勝平野が一望できるところと言いますが雲が巻き上がり展望は期待できませんでした。ガイドブックなどによるとナキウサギの見られる岩場はこの先にあるようです。
山頂で昼食を済ませたのち、車を停めた白樺峠へ下ることにします。途中、見上げるエゾマツの梢の先にエゾリスを見つけました。
白樺峠からは然別湖へ。ここで一休みしたのち近くのくったり温泉で汗を流していくことにします。この温泉はトムラウシ登山のベースとなっているところで、畑の真ん中の温泉としてはかなりたくさんの人が訪れているようです。登山学校もあるようでフリークライミング用の人工壁もありました。
白樺峠の周辺は草原はお花畑になっています。チシマフウロウやハクサンシャジンなど夏の野山を彩る花々とオミナエシやエゾリンドウなど秋の花が一緒に咲いていました。北海道の短い夏は足早に過ぎ去ろうとしているようです。