車で志賀高原を走ると、三角形の形の良い山が目に入ります。田ノ原湿原の裏手にこんもりと頭を持ち上げる笠ヶ岳で、急峻な岩壁をめぐらせた山は小さいながらも何時か登ってみたいと思っていた山です。
登山道は熊野沢スキー場から登るコースも開かれているようですが、山田牧場へと下っている林道の途中にある峠の茶屋からは、30分ほどで山頂に立てると言います。
ガイドブックやパンフレットなどでは笠岳と表記されているものも多いようですが、地図では笠ヶ岳と表記されているようです。
峠の茶屋の駐車場に車を停め、明るい稜線を登り始めるとほどなく急な階段が始まります。歩幅の大きな階段は思いのほか勾配もきつく息も乱れてしまいます。急な登りに汗を流すと、山頂直下の岩場にたどり着きました。左手は20メートルほどの鎖が張られた男坂。右手も20メートルほどの固定ロープが張られた女坂です。
女坂のロープを頼りに山頂によじ登ると小さな石祠が祭られています。大きな岩の上に立つと、霞んだ空の下に北信州の山々がその姿を見せてくれました。善光寺平の右手に小さな頭をもたげる山は高井富士とも呼ばれる高社山、その向こうには飯綱山を始めとする北信五山の山々が微かにその姿を見せています。降り返る夏雲の下にそびえる稜線は草津白根山。その左手にはスキー場が山裾に広がる横手山や先ほど登ってきた志賀山の思いのほか大きな山頂。なかなか素晴らしい眺めです。
山頂での展望を楽しんだ後、車を停めた峠の茶屋へ戻ることにします。急な階段の下りは登りよりも疲れるもの。距離はそれほどないものの疲れた足にはなかなかこたえる下りでした。