焼額山はその名からも判るように、70~90万 年前まで活動していた火山の山です。すでに浸食が進んだなだらかな山のため、夏休みの学校登山や気軽なハイキングの山として、多くのハイカーに登られている山です。また長野オリンピックのスノーボードの会場となったところで、冬はスキー場としてたくさんのスキー客に賑わうところです。
スキー場の大きな駐車場わきから、明るい雑木林の中を登る緩やかな登山道が続いています。まだ雪が解けて間もないためか、登山道は厚い落ち葉に覆われています。それでも道端にはタチツボスミレの小さな花が芽ぶきの時期を教えていました。やがて登山道は広いゲレンデを横切り、再び樹林帯の中を登って行きます。振り返ると東館山の山肌に開かれた高天ヶ原のゲレンデ、その左手にはまだ斜面に残雪を残した岩菅山を眺めることができます。登山道は再び広いゲレンデの中を登って行くようになります。
しばらくゲレンデの中の急な登りに汗を流すと、斜面を白く覆う残雪が現れます。このスキー場はゴールデンウィークまで営業していたとか。奥志賀の山々は雪が多いことが頷けます。やがてリフトの終点にたどり着くと傾斜も緩やかになり、登山道は朽ちかけた木道をたどるようになります。この付近も数日前まで雪に覆われていたようで、雪解け水の中にミズバショウが白い花を持ち上げていました。
しばらく進むと第2ゴンドラの山頂駅です。ここからは残雪がすっかり登山道を覆っています。第1ゴンドラの山頂駅で奥志賀から登ってくる登山道を合わせ、コメツガの林の中に続く木道をたどると大きな稚児池が現れました。6月の下旬にはヒメジャクナゲやコバイケイソウに彩られるという高層湿原も今は冬枯れの草原が広がるだけです。振り返ると曇り空の中に白い雪を被った妙高山がそびえていました。コメツガの影を水面に浮かべ静かに水をたたえる山上湖。似たような景色は大雪山の池ノ平でも見たことがありますが、まさに大自然が作り出した山上の日本庭園といったところです。
山頂からは先ほど登ってきた登山道を下ることにします。下り始めると低く垂れこめた雲の中から細かな雨が降ってきました。雨具を取り出すほどのことはないものの、春先の山での雨はあまり歓迎したくないものです。
急なゲレンデや残雪も下りとなると楽なもの。1時間ほどで車を停めた駐車場にたどり着くことができました。
雪の残るゲレンデの途中にはフキノトウの小さな蕾、しばらく下った雑木林の中には笹の子も顔をのぞかせていました。
帰り道には近くの笠ヶ岳山麓のミズバショウ公園に立ち寄りました。木道が敷かれた湿原には白いミズバショウが咲いています。リュウキンカも黄色い花を付けていました。春の遅い奥志賀も、季節は春へと移りはじめているようです。