志賀山は池とシラビソの林に包まれた小さな山です。山麓には四十八池と言う湿原もあることから、池と湿原をめぐるハイキングの山としてガイドブックなどにも紹介されています。小学校などの登山遠足の山としても利用されているようで、以前にこの山に登ろうとしたときは登山口の硯石駐車場に、たくさんの観光バスが停まっていた記憶が残っています。
登山口のある前川スキー場のリフトは平日にもかかわらず運転中。10分ほどの登りですがリフトを利用したくなるのは歳のせいでしょうか。たどり着いたリフトの山頂駅からは四十八池への遊歩道が始まります。
砂利道の遊歩道をしばらく進むとシラビソの林に囲まれた渋池です。ここからはシラビソとダケカンバの林の中を緩やかに登る薄暗い道が続いています。途中で四十八池に向かう道を右に分け、木道の敷かれた沢沿いの道を進むと志賀山への登りが始まります。志賀山火山の熔岩という露岩帯は思いのほか急な登りです。息を切らせながら坂道を登って行くと、道端には真っ赤な実を付けたゴゼンタチバナ、白い実はシラタマノキでしょうか。紅葉が始まったオオカメノキも赤い実を付けていました。木の根が煩い登山道を登って行くと視界が開け、右手には小さなお釜池がシラビソの緑を湖面に映していました。
ここからしばらく登ると志賀山の山頂です。暗いシラビソの林に覆われた山頂には山頂を示す標柱があるものの視界は全く望めません。更にしばらく進むと視界が開けた山頂の肩です。正面には小さな裏志賀山の山頂、目の前には鬼ノ相撲場池といわれる小さな池がひっそりと水をたたえていました。
ここからは志賀山と裏志賀山の鞍部に向かって明るい笹の稜線を下って行きます。右手に現れた小さな池は志賀ノ小池とか。この山は小さな池が多い山です。ここからはシラビソの林の中を登り返すことになります。やがて四十八池に下って行く道を右に分けると、ほどなく裏志賀山の山頂にたどり着きました。目の前には池塘が続く四十八池。左手には大沼池が青い水をたたえています。夏雲の下には岩菅山の大きな稜線。その奥には佐武流山など、まだ足を踏み入れたことのない信越県境の峰々が霞んでいました。
裏志賀山からは四十八池に下ることに。先ほどの分岐点に戻り岩まじりの坂道を下って行くと、右手に黒姫池がひっそりと水をたたえています。たどり着いた四十八池の湿原はすでに秋の盛を過ぎているようで、草もみじの原にはイワショウブの白い花が目に付くだけです。
木道脇の休息所で昼食をした後、四十八池の散策に訪れる観光客と一緒に車を停めた硯石の駐車場に戻ることにしました。
前山スキー場の目の前に広がる小さな湿原はすでに秋の色に染まり、オヤマリンドウも茶色に枯れた花が目立っていました。