日光のはずれに位置する高原山は日本300名山の一つに数えられる山です。今は休業中のようですが、メイプルヒルスキー場の山として最盛時にはたくさんのスキー客で賑わった山のようです。またこの山は、平家の落人伝説を今に伝える弁天沼や、山岳信仰の対象になった鶏頂山でも知られた山です。
日塩もみじラインのカーブの多い道を登って行くと左手に大きな駐車場があります。右手の林の中には朽ちかけた鳥居が建っています。ここが高原山の登山口。登山道は明るい雑木林の中を緩やかに登って行きます。しばらく登ると登山道は広いゲレンデに飛び出しました。ここからは緩やかに広がるスキー場をリフトの終点に向かって登って行きます。リフトの終点からは暗い杉林の中を緩やかに登って行きます。すでに7月も中旬を超えると暑さも最盛期。流れ落ちる汗でシャツもビッショリと濡れてしまいました。
緩やかな登山道をひと登りすると大沼です。この付近から登山道も山道らしくなってきました。さらにしばらく登ると弁天沼。明るい雑木林の中に小さな沼が水をたたえていました。小さな祠のそばには、平家落人の伝説を伝える石碑が建っています。ここからは鶏頂山に向かって明るいダケカンバの林の中を登る急な坂道が始まります。たどり着いた細い稜線は左手が深く切れ落ちています。振り返ると木間越しに釈迦ヶ岳がそびえていました。急な稜線に息を切らせながら登りつめた山頂には立派な社が建っています。目の前には巻き上がる夏雲の中に日光の山並みが広がっていました。
鶏頂山の山頂で昼食の後、釈迦ヶ岳へと向かうことにします。鶏頂山から釈迦ヶ岳、西平岳への稜線は赤茶けた爆裂火口を取り囲む古い火口壁のようです。山麓にあった案内板には硫黄の採掘で湧き水が使えなくなったなど、火山の痕跡を伝える記載も残っています。
暗い杉林の中の急坂は倒木も目立ち、なかなか疲れる登りです。ようやくたどり着いた釈迦ヶ岳の山頂は広く開けた草原。コンクリート造りの大きな釈迦像が建っていました。期待した山頂からの展望は、真っ白な夏雲に覆われ山の端すらも見せてくれません。あたりには気持ちが悪くなるほどたくさんのトンボが飛び交っていました。イナゴの大群や鳥の大群は映画やニュースで見たことはあります。しかしこのように群れ飛ぶトンボの大群を見るのは初めてです。
山頂からは登山口へ下ることにします。途中からは道を右に折れ、直接弁天沼に下ることにしました。登山道は小さな沢に沿って下って行きます。梅雨時の大雨のためか倒木もあちこちに横たわり、かなり荒れた道が続いています。
弁天沼からは暗い杉林の中を登山口へ。途中、左手の林の中に数人の人が何かを探していました。聞けばシメジの仲間の白いきのことか。珍しいだけでなくなかなか美味しいきのこと言います。ゲレンデに飛び出すと遠くで響く雷の音。このような広い道で雷には逢いたくないものです。雷の音に急かせながら広いゲレンデを下って行くとほどなく車を停めた駐車場です。