余市岳は余市川の上流に位置することから名付けられた山とも、アイヌ語の「ユオチ」温泉の多いところ、「イオチ」蛇の多いところから名付けられたとも言われる山です。キロロスキー場が開設されるまでは、白井川をたどる奥深い山でしたが、今では休日にスキー場のゴンドラが運転されていることもあり、ハイキングの山としてたくさんのハイカーでにぎわっています。
札幌から石狩に抜け、国道5号線、国道393号線を乗り継ぎ、キロロのスキー場にたどり着いたのは10時。すでに登山口の駐車場はたくさんの車で溢れています。
駐車場からは沢沿いの道を緩やかに登り始めます。付近一帯はすでに赤や黄色の紅葉に覆われ、もう秋も真っ盛りのようです。やがて登山道は沢を離れ、雑木林の中を緩やかに登って行きます。急な坂道をジグザグに登って行くと、ダケカンバの明るい尾根道になります。右手にはこれから登る余市岳の大きな山肌。振り返るとキロロのスキー場が広がっています。ここからは熊笹の尾根道を登って行きます。やがてハイマツが現れると稜線上の見晴台です。左手の道はゴンドラ駅に向かう道。駅まではおよそ30分ほどのなだらかな道のようで、かなり年配のパーティも登っていました。
登山道は一度コルへと下り、左手から白井川コースを合わせ山頂へと続く急斜面が始まります。熊笹の斜面をジグザグに登る急坂は思いのほか急な登りです。
やがて急坂も緩やかになってくると、山頂へと続くハイマツの廊下です。しばらく登ると山頂の一角にたどり着きました。ケルンと観音像が建っています。目指す山頂は白骨のようなハイマツの原をしばらく進んだところにあります。昔の山火事後という一帯は、真っ赤に紅葉する潅木に覆われるところ。しかし今年は寒さが急に訪れたためか、もう山頂は晩秋の景色が辺りを支配しています。札幌近郊の最高峰だけあって、山頂からは360度の広い展望が目を楽しませてくれます。目の前には雪の帽子を被った後志羊蹄山。振り返ると定山渓天狗の岩峰。その隣に続く尾根は無意根山です。山頂にテレビのアンテナを載せた手稲山が、思わぬ近さに見えていました。
山頂の展望を楽しんだ後、ケルンの建つ広場に戻り昼食です。もう山頂は冬も目の前。日が陰ると吹き付ける風もかなり冷たく感じられます。
昼食の後、登山口に戻ることとします。かなりたくさんの人が山頂にいたようですが、登山口に下っていくのは数人だけ。ゴンドラを利用して下って行く人も多いようです。
山頂付近は、すでに紅葉の時期を過ぎていましたが、山麓は今が紅葉の真っ盛り。今日は登山口から少し下ったところにある八潮レークに立ち寄って行くことにします。スキー場のはずれの小さな沼は、隠れた紅葉の穴場とも言うところ。赤や黄色に色付いた木々を映す小さな沼は、絵葉書にでも載せたいような景色です。
沼では今流行のフライを振る人が2人。あまり釣れている様子はなかったものの、なかなか面白そうなものです。