積丹半島には1,000メートルクラスの山が幾つか連なっています。しかし登山道が開かれているのは半島の最北端の積丹岳だけです。積丹岳は春スキーの山としても有名で、ヘリコプターによるスキーも行われていると言います。またこの山は山菜が豊富なところとしても知られている山です。
札幌から一般道をたどり積丹まで。遠いと言いながら、約2時間で登山口のある積丹半島の先端へとたどり着くことができます。ここで道を左に。しばらく舗装された道を登って行くと小さな指導標の立つ積丹岳の登山口です。数台しか停まれない駐車場には大型バスが2台停まっていました。
ここからは砂利の道を山麓の休憩所まで。ガイドブックでは4WDなどでなければ登ることができないと言っていましたが、それほど荒れた道ではないようです。たどり着いた休憩所は小奇麗な建物で、ストーブや寝具も完備され宿泊もできるようです。
ここから登山道は暗い樹林帯の中を緩やかに登って行きます。登るにつれ山は芽吹いたばかりの白樺に覆われて来ます。登山道の両脇は背の高い熊笹に覆われ、ちらほら笹の子が顔をのぞかせています。
五合目の指導標を超えると、フンベツの沢です。沢はまだ厚い残雪に覆われ、この山は春も浅いことを感じさせてくれます。ここからは残雪が登山道を覆い、白樺や熊笹が道に覆い被さっています。日本海から吹き付ける季節風と、多量の雪のため枝も曲がってしまったのでしょうが、なかなか歩きにくい道です。
急な登りに息を切らせながらたどり着いた稜線はピリカ台。視界が広く開け、正面にはこれから登る積丹岳の山頂がそびえています。ハイマツと熊笹に覆われた稜線には強い風が吹き抜けています。やがて登山道は山頂直下の急斜面。スキーができるほど広い残雪に覆われた斜面は、足を滑らせれば下まで滑り落ちてしまいそうなところです。
たどり着いた山頂からは広い展望を楽しむことができます。正面にそびえる頂は余別岳とポンネアンチシ岳。山の斜面はまだ白い残雪に覆われています。山頂は強い風が吹き抜け、立っているのもやっとといった所です。早々に往路を下ることにしました。しばらく下った道端に腰を下ろし、遅い昼食としました。
昼食の後、単調な登山道を休憩所へと下って行きます。途中、急に笹藪の中なら山菜取りのおじさんが顔を出します。聞けば沢をひとつ迷ってしまったとか。この山には毎年山菜を採りに登ると言います。笹藪を漕いで50mほども入ると、結構太い笹の子があるとか。我々が見付けた笹ノ子とはかなり太さが違うものです。
積丹岳も春の花であふれています。登山道にそって咲き乱れているのはサンカヨウにツバメオモト、ベニバナイチゴやシラネアオイも目にすることができます。ツバメオモトは秋になると紫色の実を付ける花です。
また、沢沿いの雪渓が融けた日向には、ミズバショウとザゼンソウが咲いていました。北海道を代表する花のひとつミズバショウはよく目にすることはありますが、グロテスクなザゼンソウはあまり目にしたことはありません。