赤坂峠登山口8:30-(1h00m)-畳石9:30/40-(0h55m)-石楠花山荘10:35/40-(0h25m)-五葉山(日ノ出岩)11:10/11:15-(0h20m)-石楠花山荘11:35/55-(0h35m)-985m付近12:30/40-(1h05m)-赤坂峠登山口13:45
五葉山はシャクナゲとツツジの花で知られた花の百名山です。その名は伊達藩直轄の御用の林から転じたものとも言われています。
登山口は幾つかあるようですがガイドブックなどで紹介されている赤坂峠から山頂を目指すことにしました。たどり着いた広い駐車場にはすでに数十台の車が停まっていました。
登山口には五葉山神社の大きな鳥居が建っています。ここからは明るい稜線を登る登山道が始まります。
ジグザグを切りながら登る明るい登山道にはあまり目立った花は見あたりません。それでも道端に目を落とすとギンランの白い花を見付けることができます。
1合目、2合目と書かれた案内板に励まされながら登る登山道はヤマツツジの花のトンネルです。その色も赤から薄いピンクさらには濃い赤いものまで様々です。
3合目は賽ノ河原、岩屑に覆われた広場は荒涼とした雰囲気のところで、その名に因んでか石積みもありました。
ふたたびツツジのトンネルの中を登って行きます。緩やかに登って行く登山道はやがて畳石にたどり着きます。大きな畳石の前にはベンチが置かれたたところで右手には水場へと続く道が分かれていました。
ここからはミズナラやダケカンバの雑木林を登る急坂が始まります。下草は背丈の低いミヤコザサ、このためもあってか目立った草花は見付けることができません。
しばらく登ると古びた社が祀られています。この付近からはムラサキヤシオの花が目立ち始めます。木立の中にはハクサンシャクナゲも群生しています。枝先には大きな蕾が伸びていますがピンクの花を付けるのは6月の末から7月にかけてでしょう。
大きな岩の下に祀られた社を過ぎると8合目の案内板。勾配も緩くなった登山道はシャクナゲの群生する稜線を登って行きます。たどり着いた9合目の先には赤い屋根の石楠花山荘が建っていました。
ここからは森林限界を越え明るい稜線上の道が始まります。緩やかに登った道は大きな鳥居の建つ日枝神社へ。ここからさらに砂礫の道を登って行くと1等三角点のある三角点ピークにたどり着きました。ここには山頂を示す大きなコンクリート造りの標柱があります。震災前から壊れかけていたと言いますが、昨年の大震災でさらに破損が進んだようで根本は折れかかっていました。
五葉山の山頂はなだらかな稜線をしばらく進んだところにあります。大きなツガの林の中にそびえる岩が山頂の日ノ出岩。岩の下には古い社が祀られています。岩の上に立つと北側の視界が開けます。晴れていれば早池峰山や薬師岳も見えると言いますが雲の中にその姿を隠していました。
山頂からは石楠花山荘に戻り昼食にしました。帰りは地元の人に教えてもらいこの山にしか見られないゴヨウザンヨウラクやクリンソウなどを見てから赤坂峠へ下りました。
最近はツツジもクリンソウも花付きが悪くなったと言いていましたが、全山を赤く染めてと言う表現が当てはまりそうな見事なツツジの山でした。
途中、畳石の広場にはシカがいました。五葉山はニホンジカの北限とか。しかしここでもシカが増えているようで山麓にはシカ避けのネットが張られていました。日光や丹沢などではシカによる食害に頭を悩ませていますが、ここでもまたシカによる被害は深刻なようです。
石楠花山荘で出会った地元の人の話では、五葉山はハクサンシャクナゲとミネザクラの咲く山として花の百名山に紹介されている山とか。この山にはミネザクラのほかチシマザクラも咲くと言います。チシマザクラは北海道などに咲くミネザクラの変種で、その違いは花柄に毛があることと教えてくれました。
ゴヨウザンヨウラクは五葉山の一部にしか見ることができない固有種で、環境省のレッドデータブックでも絶滅危惧IA類に指定されています。まだ花が開くのには少しかかりそうですが赤い小さな花を付けた木を数本見付けることができます。個体数もあまり多くないようで、鳴神山のカッコソウのような運命にならないことを祈るばかりです。
また付近にはイチヨウランも目立たない黄緑色の花を付けています。針葉樹の林床に花を付ける珍しいランです。