名頃登山口8:20-(1h30m)-1,380m付近9:50/10:05-(1h00m)-1,900m附近11:05/15-(0h45m)-三嶺12:00/13:00-(2h00m)-名頃駐車場15:00
三嶺は高知県と徳島県の県境に位置する山で知名度からは剣山に劣るものの、「三嶺・天狗塚のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落」として天然記念物にも指定された自然豊かな山です。
登山口は祖谷渓の名頃からが比較的近いと言います。たどり着いた広い駐車場にはたくさんの車が停まっています。さすが人気の山と言うこともあって九州や近畿の車も停まっていました。
登山口のベンチには地元の人が造った等身大のぬいぐるみが置いてありました。なかなか微笑ましいものです。
ガイドブックには登山口からは長い三嶺林道の車道歩きと書かれていましたが今年の台風で林道は通行禁止。登山口からは雑木林の稜線を登って行く新コースが開設されていました。急な登りにひと汗を流すと明るい雑木林の中を登る道になります。ふみあとは薄いものの、所々にテープなども貼られ良く整備されています。
枯れ葉を踏みしめながら登って行く道はやがて登山口から続く三嶺林道に。道路工事を行っているようで建設資材などが積み置かれていました。
林道を横切った登山道はふたたび雑木林の稜線を登って行きます。四国も鹿の被害に悩まされているようで途中には囲い罠が仕掛けられています。イノシシの罠を見たことがありますが囲い罠は初めてです。
雑木林の中の道は1517mの小ピークを目指し緩やかに登って行きます。途中で出会った単独行の人は地元の人。このコースも詳しいようで色々情報を教えてくれました。最近は道迷いが多いようで1517m付近でも道を間違い近くの沢に下った事故があったとか。このためか登山道にもテープや道標が多く設けられているようです。
ピークから小さく下ったところはダケモミの丘と言われるところです。三嶺林道から登ってくる道を合わせるところですがこの道は通行止めになっていました。この付近からは登山道の植生も変わりシラビソやウラジロモミが多くなってきます。
幾分急になった登りに汗を流すと梢の先に三嶺の岩壁が見えてきます。山頂直下は明るいミヤマクマザサの斜面で見上げる岩壁の縁を巻くように急坂が続いています。振り返ると切り立った岩壁の先に剣山と次郎笈の頂を見付けることが出来ます。
急な木の階段に息を切らせると小さな三嶺池です。池の傍らには避難小屋も建っています。ミヤマクマザサとコメツツジに覆われた台地には幾つものふみあとが山頂へと続いていました。
露岩に覆われた山頂は360度の展望が広がるところです。避難小屋の先には剣山と次郎笈の頂。緩やかな稜線の上をたどる縦走路はここから7時間、途中には祖谷渓へと下って行く道もあると言います。
西に目を向けると優しい笹尾根の先に天狗塚、青く霞むスカイラインは石鎚山から瓶ヶ森、寒風山などの頂と言いますが見慣れない四国の山ではその頂を特定するのは難しものがあります。
平日にもかかわらず山頂はたくさんの人で賑わっています。大きなザックを背負った若者はテント縦走の最中とか、また山頂には地元消防署のレスキュー隊員が数名、遭難対策として調査でもしているのか衛星電話とGPSを使って作業をしていました。
展望を楽しみながら昼食をとったのち名頃を目指して下って行くことにします。途中、三角点を2つGet。1544.2mの三角点は登山道から外れ、途中には通行止めの案内が建っています。地形図を確認すると以前の登山道は三角点のあるところまで下っています。斜面の崩壊などで道が付け直されているようです。
帰りには奥祖谷渓のかずら橋を見て行くことにしました。祖谷川にかかる橋は大きな男橋と女橋の2つ。付近は今が紅葉の最中ということで赤や黄色に色付いた紅葉が夕日を浴びています。昔はかずらだけで橋を造っていたのでしょうが今はワイヤーが張られた吊り橋にかずらを巻いているようです。
かずら橋の傍には野猿があります。川に渡されたロープに吊り下げられた小さな箱小屋の乗り物でロープを手繰りながら川を渡っていきます。
昔はこのような乗り物が山間の生活には必要であったのでしょう。思いのほか力のいるもので少し疲れてしまいました。
瓶ヶ森付近を源とし高知から阿波へと流れる吉野川は四国最大の川です。大歩危、小歩危はその中流にある渓谷で、紅葉や川下りで知られたところです。陽も低くなった道の駅の展望台から眺めると岩峰が迫る渓谷の中を白い水しぶきを上げながら川が流れていました。大股で歩くと危ないとも例えられていますがそれほど急峻な岩場でもなさそうです。もうしばらくするとこの渓谷も紅葉の盛りを迎えるのでしょう。