上信越の国境に位置する谷川岳は一ノ倉沢や幽ヶ沢などの急峻な沢を持つ山で、標高2000mに満たない山にもかかわらずアルペン的な山容から多くの若者を魅了してきた山です。西黒尾根や巌剛新道などがガイドブックにも紹介されていますが、ロープウェイの天神尾根から山頂を目指すコースは比較点簡単なハイキングコースとして多くのハイカーで賑わっているコースです。
ロープウェイの土合駅はさながら街の中のショッピングセンターのような建物で、駅の下はたくさんの車を収容できる立体駐車場となっています。駐車場はすでにたくさんの車が停まっていました。
軽装の観光客などに交じって、土合駅からロープウェイで天神平へ。窓の下には色づき始めた紅葉が秋の真っ盛りを教えてくれているようです。高度を上げると白毛門や朝日岳など、谷川岳と対峙する山々もその姿を晴れ渡った秋空の下に現わしてくれます。
たどり着いた天神平駅からは紅葉に染まる稜線を熊穴沢避難小屋へと登っていきます。目に前には西黒尾根が青空に向かって競り上がっています。木道や階段の続く明るい登山道をしばらく登ると熊穴沢避難小屋です。
避難小屋の前で一休みしたのち、明るい尾根道を肩ノ小屋へと登っていきます。左手は万太郎山へと続く上越国境の稜線で、急峻な岩壁を巡らせた俎嵓から川棚ノ頭の稜線が青空の下にそびえています。しばらく登ると固定ロープが張られた露岩帯、小さな鎖場を超えるところもあり、変化に富んだ登りが続いています。
天狗のたまり場と呼ばれる大きな岩を超えると、山頂の肩に続く開けた登山道を登るようになります。岩の敷き詰められた階段状の登りにひと喘ぎすると、西黒尾根からの道を合わせる肩ノ小屋です。ここからトマノ耳までは笹に覆われた道をひと登りです。
折からの好天に恵まれ、狭い岩峰のトマノ耳はたくさんの人で溢れていました。目の前には紅葉に彩られた白毛門から笠岳、朝日岳の大きな山並。真っ赤に色づいた山肌が秋の日を浴びてそびえたっていました。
トマノ耳からは谷川岳の最高点であるオキノ耳に向かうことにします。ひとたび鞍部に下って小さく登り返すとオキノ耳です。小さな山頂はたくさんの人で昼食を楽しむ場所を確保することもままなりません。仕方なく少し下った鞍部の岩陰で昼食としました。
昼食ののちは往路を天神平に向かって下って行くことにします。12時を少し過ぎた時間ですがまだまだ山頂を目指すハイカーが急な登山道に息を切らせながら登ってきます。
ロープウェイを利用すると谷川岳も往復4時間半ほどの初心者コースと位置付けられているようですが、やはり登りはきついようです。振り返ると真っ赤に色づいたナナカマドの梢の先に西黒尾根。急な稜線を数人のハイカーが下っているようです。