一切経山・吾妻小富士~古い火山の連なる吾妻山で最後に噴火をした山~ 


標高
一切経山 1,948.8m、吾妻小富士 1,704.6m
山域
東北
登山日
2006年6月6日(火
歩程
合計 3:55
歩行距離
8.3km
標高差
374m
累積標高差
+521m、-521m
登山口
浄土平駐車場mapon
登山コース
浄土平 -0:25→ 吾妻小富士 -1:50→ 一切経山 -1:40→ 浄土平
コースmap
一切経山・吾妻小富士 登山コース

 

日本百名山の一つに数えられる吾妻山は西吾妻山を最高峰として、家形山、烏帽子山、東吾妻山、西大巓、中大巓、東大巓、一切経山などの山々から成る山域です。約30万年前から火山活動が始まり、間欠的に噴火を繰り返した火山群で、最近では明治26年に、一切経山南麓の大穴火口で大きな噴火が発生し、噴石や火山灰を噴出したと言われています。

昨年、吾妻山を訪れた時は天元台のロープウェイ駅から最高峰である西吾妻山に登りました。この時、途中の天狗岩から、赤茶けた一切経山の山肌を眺めた記憶が今も残っています。今回は磐梯吾妻スカイラインを利用し、浄土平から吾妻小富士と一切経山を訪ねてきました。

山行の記録

 浄土平~吾妻小富士

浄土平の広い駐車場に車を停め、まずは目に前に小さく頭を持ち上げる吾妻小富士に登ることにします。駐車場からは木の階段が付けられた遊歩道のような坂道を登って行きます。たどり着いた吾妻小富士の山頂は火口壁を半周した浄土平の反対側にあります。大きく口を開ける爆裂火口は直径400m、深さ70mとか。かなり大きな爆裂火口です。強い風が吹き抜ける火口壁の岩陰にはイワカガミが真っ赤な花を付けていました。

 吾妻小富士~浄土平~一切経山

浄土平に戻った後、一切経山に向かって登り始めることにます。明るい砂礫の稜線を緩やかに登り始める登山道には真っ赤なイワカガミの花が咲き乱れています。イワハゼなども咲くようですがまだ蕾さえも膨らんでいません。徐々に急になる登山道は、火山特有の火山礫に覆われた道で、あまり歩き易い道ではありません。

吾妻小富士の登山道から眺める一切経山
吾妻小富士の噴火口と一切経山
登山道から眺める一切経山
最近まで活動していた大穴火口

しばらく登ると右手に大穴火口が大きな口を開けていました。吾妻山の火山郡の中にあって、一切経山は最近まで噴火を繰り返した山のようです。この噴火口は明治26年にも大きな水蒸気爆発を起こした噴火火口で、微かに硫黄の噴気が立ち昇っているようです。

急な坂道に息を切らせながら高度を上げていきます。振り返ると先ほど登ってきた吾妻小富士が大きな爆裂火口を開けていました。その右手に見える緑に覆われた火口丘は桶沼。古い爆裂火口に水が溜まったものとか。しばらく急な登りに汗を流すと稜線の上にたどり着きました。この付近はハイマツが目立つところで、たくさんのマツボックリが枝先に花のように広がっていました。やがて左から酸ヶ平から登ってくる道を合わせると山頂は指呼の間です。

たどり着いた一切経山の山頂は広く開けたところで、大きなケルンには空気大感謝塔と書かれた木柱が立っています。一切経山という山名の由来は八幡太郎義家に敗れた安倍貞任が山中に一切経を埋めたところとか、空海がこの地に一切経を埋めたとも伝えられていますが、寺院や石像なども見当たらず、山岳信仰の名残はあまり感じられない山頂です。

午後から天気が崩れるという予報を裏付けるかのように、山頂からの展望はあまり期待できません。それでも烏帽子山から東大巓への長い稜線の先に、昨年の夏に登った中大巓から西吾妻山のなだらかな尾根が白い雪を被っていました。

ケルンが積まれた一切経山の山頂
稜線から眺める鎌沼
鎌沼にはまだ残雪が残っています
鎌沼から浄土平へ下っていきます

 一切経山~酸ヶ平~鎌沼~浄土平

山頂で小休止した後、鎌沼に下ることにします。地元の叔母さんだけのグループや、中年の男性のグループ、平日にもかかわらずかなりのグループが登ってきています。酸ヶ平への分岐で道を右に。急な坂道を下って行くと大きな雪渓が横たわっています。雪がすっかり腐れ、滑ることもないようですが数週間前まで、この付近は冬の世界の中に眠っていたようです。

酸ヶ平小屋の先で道を右に。木道をしばらく進むと冷たそうな水をたたえる鎌沼です。湖畔には大きな雪渓が張り出し、その上を巻くように登山道が登って行きます。この道も鎌沼を巻くようにして浄土平に下って行く道です。我々はここから直接、浄土平に戻ることにします。

木道を戻ると登山道は大きな雪渓の中を下っていくようになります。それほど急な斜面でないので、滑ることもないようですがやはり残雪は気を付けなければならないものです。しばらく雪渓の上を下って行くと広い浄土平の駐車場は目の前です。

山で出会った花たち

明るい稜線をたどる登山道にはイワカガミが赤い花を付けています。シャクナゲの蕾も大きく膨らんでいるようですが、ピンクの花が開くまではまだ数週間待たなければならないようです。

浄土平には木道が敷かれた小さな湿原があります。ガンコウランやコケモモ、コケなどに覆われた湿原にはワタスゲが白い穂綿を風に揺らしていました。小さなヒメシャクナゲも咲くようですが蕾さえも膨らんでいないようです。

 

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