恵山は渡島半島の東端、亀田半島に位置する複式火山で、イワカガミなどの高山植物やツツジの咲く山として知られています。初夏にはツツジ祭りが開かれ、たくさんの観光客で賑わうところです。
札幌から国道230号線、国道37号線、国道5号線をたどり函館へ。函館市内で道を左に折れると国道278号線です。ここからは海沿いの道を恵山に。遥かに霞む下北の山々を眺めながら道を進めると恵山の町です。ここから狭い海沿いの道を進んで行くとツツジ公園があります。金色に彩色された大きな観音像が立っています。山腹を縫うようにして続く観光道路をひと登りすると火口原である賽ノ河原にたどり着きました。大きな駐車場にはすでに4~5台の車が停まっています。荒涼とした賽ノ河原も初夏になれば、イソツツジやガンコウランが咲き競うようですが、まだ春の芽吹きには程遠いようです。
正面に広がる恵山は大きな爆裂火口壁を目の前に広げています。登山道は左手の稜線を登って行くようです。ひとまず火口原の中を進んで行くと椴法華への分岐点。登山道は右手、溶岩の折り重なる稜線を登って行きます。観光地化されていることもあり、思いのほか緩やかな登りとなっています。赤茶けた岩の中をジグザグに登って行くと爆裂火口を目の前に望む休息所。墳気孔からは硫黄の匂いが鼻をさす白い墳気が立ちあがっていました。
ここから再び溶岩の折り重なる登山道をジグザグに登って行きます。途中にも幾つかの噴気孔があり、今でも盛んに白い煙を吐いています。やがて恐竜の背中のような岩が折り重なる稜線に出ると山頂は目の前です。
たどり着いた山頂は広く開け、正面には津軽海峡が広がっていました。振り返ると賽ノ河原とその向こうに頭を持ち上げる海向山。恵山山頂には石垣に囲まれた小さな社が祭られています。山頂からしばらく下った岩陰でお弁当にしました。
昼食の後、往路を賽ノ河原を目指して下って行きます。駐車場からはスニーカーを履いた若者が登って着ます。やはりこの山は観光地の中に組み込まれた山なのでしょう。
賽ノ河原にはたくさんのお地蔵さんが立っています。登山道から外れた道端にあるのであまり良く見えないものの、地獄絵図などに紹介される賽ノ河原の故事に根ざすものなのでしょう。