雨龍沼湿原は南暑寒岳山麓に広がる北海道を代表する湿原で、早春から晩秋まで、ミズバショウやエゾカンゾウなどの湿原植物が咲き乱れる高層湿原です。広い湿原の中には池塘をめぐる木道も敷かれています。
札幌から道央自動車道で滝川インターへ。滝川からは国道275号線を雨竜町へと車を進めて行きます。雨竜町からは尾白利加川に沿った道道432号線をたどり、登山口のある南暑寒荘を目指します。たどり着いた南暑寒荘の前には大きな駐車場がります。駐車場の整理をしているガードマンの話では、朝の5時頃から車の整理をしているとか。今日はかなりたくさんの人がこの湿原に足を踏み入れているようです。
真新しいログハウス風の南暑寒荘の脇から、車道をしばらく進んでゆくと真っ赤な吊橋がかかっています。ここからが本格的な登山道。ペンケペタン川に沿った道を緩やかに登って行きます。雨龍沼湿原は手軽なハイキングコースのためか、小さな子供の手を引いた家族連れや、お爺さんお婆さんのパーティなどが目立つようです。しばらく登ると右手に白竜ノ滝が懸かっていました。高さ36メートル、登山道からは見下ろすことになるため、あまり迫力はないものの、暑い季節には涼しげなものです。
白竜ノ滝からさらにしばらく登ると、登山道はペンケペタン川の対岸に渡ることとなります。ここからは湿原の台地を目指し、急な斜面を登って行きます。
最後の急な登坂に汗を流すとチシマザサに覆われた湿原の入り口にたどり着きました。やがて視界が開けると雨龍沼湿原です。点在する池糖と木道が続く湿原は、尾瀬ヶ原を思い出させるような明るい高層湿原です。しばらく木道を進んだ休息所で昼食です。
昼食の後、再び雨龍沼湿原を散策することにします。やがて木道は南暑寒岳の麓にたどり着きます。この道をしばらく登ると湿原を一望できる湿原展望台。南暑寒岳まではさらに1時間50分の行程と言います。今日は大人しく帰り道を急ぐこととします。
まだ明るい午後の日が降り注ぐ湿原を後に、登山口を目指し急坂を下って行きます。ハイキングコースの気楽さなのか、まだ息を切らせながら湿原を目指し登ってくる人も多いようです。
今年は春先の好天で山の花々は2週間ほど早く花を付けているとか。この湿原でも、エゾガンゾウは花の時期を終えたようで、僅かに数株が黄色い花を付けているだけです。今、湿原を彩るのはタチキボウシとヒオウギアヤメ。この湿原も乾燥化が進んでいるようで、花の種類もその数もあまり多くないようです。
湿原に点在する池糖にはヒツジグサやオゼコウホネが花を付けていました。未の刻に咲く花がその名の所以と言うヒツジグサや、河骨と書くとその意味も理解できそうなオゼコウホネなどは尾瀬でもよく見かける花です。