今年の梅雨明けはまだ発表されていないものの八ヶ岳周辺の天気は比較的安定しそうです。八ヶ岳なら一泊の山行も楽しめそうと言うことで諏訪南インターから天狗岳や硫黄岳の登山口である桜平へ向かいました。
海の日を含めた3連休の最終日とあって、これから山を目指す人はあまり多くないと思っていましたが桜平周辺は駐車している車でかなり混雑していました。
桜平10:00-夏沢鉱泉10:40/45-オーレン小屋11:35/12:20(テント設営)-2440m付近12:50/13:05-箕冠山13:20-白砂新道手前13:50/14:35-東天狗岳15:10/50-箕冠山16:35-夏沢峠17:05-オーレン小屋17:30テン泊
行動時間7:30、歩行時間5:00、歩行距離:8.5km、累計標高差:+1200m、-603m
桜平のゲートから夏沢鉱泉までは荒れた林道歩きです。ここは夏沢鉱泉やオーレン小屋の車も登ってくる道です。途中には沈下橋や荒れた砂利道もあり4WD車でなければ登って行くことは難しいところです。
やがてマイクロ水力発電の小屋が見えると夏沢鉱泉は目の前です。冬はスノーシューのお客さんで賑わうようで山の会の山行でも時々利用している山小屋です。
夏沢鉱泉のベンチからは夏雲の中に北アルプスの稜線が見え隠れしています。昨日までの不安定な空模に変わり、雲が多いものの梅雨明けを期待させる青空が広がっていました。
夏沢鉱泉からは樹林帯の登山道を登って行きます。荒れた道には荷揚げ用のキャタビラクローラの轍が残っています。
やがて登りも一段落するとオーレン小屋は目の前です。広く開けた小屋の前には休憩中のハイカーが数人、小屋のおじさんに聞くと昨日は込み合ってようでまた激しい夕立もあったとか、今日はテン場も空いているのでどこにテントを張っても良いと言います。
まずはテン場の奥にテントを設営、今日は小屋の前の分岐から箕冠山を越え天狗岳に向かうことにします。
樹林帯の中の道は緩やかに箕冠山へと登って行きます。それほど急な登りではないものの、気温が上がっているためかなかなかペースが上がりません。
たどり着いた箕冠山は登山道の分岐と言ったところ、山頂の先は視界が開け根石岳の先に天狗岳の山頂が一望できます。
鉄の階段を下った鞍部はコマクサの群生地です。鹿の食害からコマクサを守るためか電気柵が張られていました。
登り返した小さなピークが根石岳、岩っぽい斜面は高山植物に恵まれたところです。ミヤマダイコンソウやムカゴトラノオにまじりホソバコゴメグサやイワオウギの花も見付けることができます。
白砂新道は本沢温泉へと下って行く道です。天狗岳と中山峠、本沢温泉を周遊するコースがネット上に紹介されていました。本沢温泉には日本最高所の露天風呂あるとか、みどり池に映る硫黄岳など面白そうなコースかも知れません。
ここからは東天狗岳への登りが始まります。岩っぽい登りにはたくさんの高山植物が咲いています。山頂直下の岩場を登ると鉄製の橋、右手は深き切れ落ちた岩場になっていました。
たどり着いた山頂は広く開けた岩場の上です。目の前には蓼科山と北横岳、縞枯山のなだらかな頂、振り返ると硫黄岳の先に赤岳や阿弥陀岳の切り立った頂がそびえています。この頂は女性的な北八ヶ岳と、男性的な荒々しい南八ヶ岳の対照的な山々を一望できるところです。
帰りは箕冠山から夏沢峠を回ってオーレン小屋に戻ることにします。やはり午後も遅くなると巻き上げる雲に覆われ硫黄岳の山頂は雲の中にその姿を隠してしまいました。
オーレン小屋にたどり着いたのは5時半、テン場に腰を下ろし夕食です。メニューはサンマの混ぜご飯、それとオイルサーデンのペペロンチーノです。オイルサーデンは初めて利用してみましたが結構な美味、パスタ以外にも色々利用方法がありそうです。
真夏と言いながら夜は気温がかなり下がっているようです。寝袋に入っても少し寒かったようです。
オーレン小屋場6:30起床、8:05-夏沢峠8:35-2560m付近9:05/10-硫黄岳9:50/55-硫黄岳山荘10:30/11:05-2715m付近11:30/35-硫黄岳11:45-赤岩ノ頭12:05-オーレン小屋12:40/14:10-夏沢鉱泉14:45/55-桜平15:20
行動時間7:15、歩行時間4:45、歩行距離:8.3km、累計標高差:+643m、-1047m
朝から明るい日が差しています。テン場での朝食はトマトリゾットとじゃがりこポテトサラダ、持ってきたベビーリーフは暑さに傷んで食べられそうにありません。夏のテント山行では傷みやすい食材は持っていかないほうが良さそうです。
ザックに水と雨具などを詰め込み硫黄岳へと向かうことにします。オーレン小屋から樹林帯の中を緩やかに登ると小さな風車が立ち並ぶ夏沢峠にたどり着きました。
夏沢峠からは樹林帯の中の登りが始まります。しばらく登るとダケカンバの林の中をジグザグに登る道になります。木の枝に親子のホシガラスが止まり餌をねだっていました。
やがてハイマツ帯になると視界が開け眼下には夏沢ヒュッテの青い屋根が見えてきます。左手は硫黄岳の爆裂火口が鋭く切れ落ちています。
大きな岩を巻くように登って行くとケルンが登山道に沿って建っています。遭難碑でもないようで冬場の目印として建てられたのでしょう。
たどり着いた硫黄岳の山頂は岩屑に覆われた広い山頂です。目の前には横岳の岩峰と赤岳、阿弥陀岳がそびえています。阿弥陀岳の先には雲海の中に南アルプスの山々が頭を出していました。
硫黄岳からは硫黄岳山荘へと下って行くことにします。この付近はコマクサをはじめとする高山植物の多いところです。大きな三脚を抱えた単独のハイカーは横浜の人か、花を撮るのが趣味のようで先日も尾瀬でニッコウキスゲを見てきたと言っていました。
硫黄岳山荘近くはウルップソウやヤツガタケキスミレの咲くところです。しかし今年は花の時期が早かったようでわずかに枯れたウルップソウの花柄を見付けることができただけでした。
帰りは硫黄岳から赤岩ノ頭に下ることにします。緩やかに硫黄岳へと登り返す登りは疲れた足にはなかなか辛い登りです。
硫黄岳の山頂で南八ヶ岳の展望に別れを告げ赤岩ノ頭へと下って行きます。この分岐は赤岳鉱泉と峰の松目へと向かう道を分けるところです。我々は右手の樹林帯を下りオーレン小屋に戻ることにしました。
たどり着いたオーレン小屋のテン場には100名ほどの中学生の一団がお昼ご飯の最中です。食事の後は根石岳まで登るとか、今夜の泊まりはオーレン小屋になるのでしょうが小屋の夕食もまた大変なようです。桜平までバスは入ることができないのでしょうから、桜平入口からオーレン小屋まで7kmほどを歩いたのでしょう。学校の登山遠足もなかなか大変のものです。
テン場の一角に腰を下ろし昼食です。お昼はアマノフーズのチーズリゾットそれとロールパンのサンドです。今回は持ち上げた食材は完食でした。食材のゴミが多かったようで少し包装などのを整理したほうが荷物も少なくなると言うものです。
それでも食材がなくなったこともありザックはあまり重くありません。オーレン小屋から1時間ほどで桜平のゲートにたどり着きました。車の数は少なくなったもののまだ道端には多くの車だ停まっていました。
天狗岳と根石岳の稜線はこの時期たくさんの高山植物が咲いているところです。ミヤマダイコンソウの黄色い花、ホソバコゴメグサ、ムカゴトラノオが咲いていました。
コゴメグサの仲間にはホソバコゴメグサやミヤマコゴメグサ、マルバコゴメグサ、コバノコゴメグサなどがあり山域ごとに住み分けています。北アルプスはミヤマコゴメグサ、南アルプスと八ヶ岳はホソバコゴメグサが多いようです。
根石岳山荘の周辺はコマクサの群生地です。砂礫地一面にピンクの花が咲いています。鹿の食害から守るためか電気柵が張り巡らされていました。
硫黄岳山荘の周辺も高山植物の咲くところです。硫黄岳高山植物園の案内板にはコマクサをはじめキバナシャクナゲやウルップソウ、チョウノスケソウなどの名前が紹介されていました。
しかし今年は季節が早く過ぎようとしているようでウルップソウも枯れた花柄があるだけ、ヤツガタケキスミレも見付けることはできませんでした。