北向不動は笠原の里を見おろすように北向きに建っています。不動明王は五大明王の一つで密教の中心的仏像であり、大日如来が悪魔を降伏させるために化身したものです。修験道の本尊として山伏とともに広まり、庶民の信仰の中に浸透しました。
現地の案内によると、かつて笠原の里は、水利も悪く不自由な土地でした。土地の庄屋は里人から年貢を取り立てず、庄屋持ちの不動様の山の財産で立て替えていました。ところがとうとう年貢が納められなくなり、村から逃げ出そうとし村を去るにあたって何か記念を残したいと思い、居住していた三十六戸の戸数を童子にみたて、三十六童子を建立したと書かれていました。
北向地蔵は目にすることがありますが北向不動はあまり見かけないようです。急な石段を登った先には不動堂が祀られていました。
五大明王・八大明王の主尊。悪魔を下し仏道に導きがたいものを畏怖せしめ、煩悩を打ちくだくと言います。
忿怒の姿で火焔の中にあり、右手に剣、左手に索縄を持ち、心の内外の悪魔をはらうとされています。