室生寺は女高野と言われる古刹で、春先はシャクナゲの花の咲くお寺として知られたところです。土産物屋が軒を並べる参道から大きな杉の古木が生い茂る道へ。残念ながらシャクナゲの時期は過ぎてしまったようですが、それでもピンクの花が参道に咲き残っています。
古びた石段を登ると大きな金堂や弥勒堂、その奥には赤い五重塔がそびえています。参道のシャクナゲ越しにそびえる五重塔はこの時期のビューポイントの一つのようですが、すでに梢の咲きには咲き残った花を数えるだけです。花の時期は短く年により早い遅いもあるようで、その盛りに出会うことはなかなか難しそうです。
この五重塔は数年前の台風で大きな被害にあったと報道されていたところです。
金堂の脇には南朝の重臣である北畠親房のお墓や、徳川綱吉の生母桂昌院のお墓もありました。
暫くするとポツポツと雨が落ちてきました。雨足も強くないようなので奥ノ院まで登って行くことにします。暗い杉の林の中を登る階段は360段ほど。途中には小さな石仏や石塔もある古びた参道です。
まっすぐに登る石段に息を切らせながらたどり着いた広場には舞台造りの奥ノ院が建っていました。
室生寺の咲くシャクナゲは花弁が7枚のホンシャクナゲ。古くからたくさんの信者が境内に植えてきたもので自生するものはないと言います。
仏教の開祖。世界4聖の一人。ネパール南部の釈迦族の王子として紀元前6から前5世紀に生まれる。苦行ののち悟りをひらきインド各地で布教して80歳で没したとされる。
はじめは実在の釈迦をさしたが入滅後、超人化・神格化されて信仰・崇拝の対象となる。日本には6世紀、百済からその教えがつたわった。
5層建ての仏塔。古くは伽藍の中心的存在であったが7世紀末から双塔式伽藍ができやがて回廊外に置かれるようになる。外観は基壇、塔身、相輪からなる。中央に心柱または刹柱が独立しその上部が相輪となる。